http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v13/n12/AI活用でゲノム医療・精密医療の実現へ/80882
宮野 悟
Nature ダイジェスト Vol. 13 No. 12 | doi : 10.1038/ndigest.2016.161220
2016年10月、ラスベガスで開かれたIBM社の国際イベントに招かれ、人工知能「ワトソン」の医療応用について語った宮野悟 教授(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター)。人工知能を活用してゲノムのビッグデータを医療に効果的に役立たせることが今後の世界の潮流となり、そのための経済的基盤と社会的コンセンサスの構築が求められてくると宮野教授は指摘する。
–– IBM社の人工知能(AI)を診断支援に用いて白血病患者の命を救った宮野先生のご研究が話題になり、世界の注目を集めたそうですね。
宮野: NHKのニュースで報道されたのですが、その反響の大きさに驚いています。AIは「ワトソン」という名ですが。これを医学研究に使用して、臨床上有効な活用ができた初の例ということで、今回米国で開かれたIBM社のイベントでも発表してきました。
この患者さんは60代の女性で、東京大学医科学研究所附属病院で、あるタイプの骨髄性白血病と診断されたのですが、標準的な治療法が効かず、深刻な容体に陥ってしまったのです。ちょうどその頃、医科学研究所ではゲノム医療における診断支援にワトソンを導入したところでした。私と血液腫瘍内科の東條有伸教授は、早速この患者さんのがんのゲノムを解析し、その変異(バリアント)データをワトソンに入力したのです。
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