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2017年2月4日土曜日

ゲノム編集をがん治療に、中国アメリカで。



がん患者の血液から免疫細胞をとりだして、この細胞のなかにある「PD-1」というたんぱく質をつくる遺伝子をはたらかなくさせました。そして、ふたたび免疫細胞を患者のからだに戻しました。

PD-1は、免疫細胞のはたらきにブレーキをかけることが知られています。ゲノム編集によってPD-1がブレーキをかけられなくなれば、免疫細胞ががん細胞を攻撃してくれるはずです。計画では、この臨床研究の対象患者は10人といいます。

米国ではペンシルベニア大学がゲノム編集を使ったがん治療を進めようとしています。研究チームの計画では、おなじくCRISPR-Cas9を使います。そして、中国チームとおなじく「PD-1」をはたらかなくさせる方法のほか、免疫細胞に備わっている「内在性T細胞受容体」とよばれるたんぱく質の遺伝子をとりのぞく方法もあります。

米国のウェブニュース「STAT」によると、骨髄腫、悪性黒色腫、肉腫といった種類のがんをもつ患者への治療が想定されています。

2016年6月には、遺伝子療法の臨床試験で必要な、米国立衛生研究所の組み換えDNA諮問委員会からの諮問を受け、このゲノム編集の臨床試験をしてもよいと認められました。

なお、臨床試験をするには食品医薬品局からも認められる必要があります。

これらの方法の効果が発揮されるのは、かぎられた種類のがんにとどまるようです。とはいえCRISPR-Cas9が開発されたのは2013年。開発から4年と経たない技術が、ヒトのがん治療の研究に使われるという早さに、研究者がこの技術を使いたいという気持ちがうかがえます。

参考資料
朝日新聞 2016年11月17日付「ゲノム編集で肺がん治療 中国のチーム」
http://digital.asahi.com/articles/ASJCK00RPJCJUBQU00Q.html
STAT 2016年6月21日付 “Federal panel approves first use of CRISPR in humans”
https://www.statnews.com/2016/06/21/crispr-human-trials/
ニュースイッチ 2016年6月17日付「続報 ゲノム編集使ったがん免疫療法で初の臨床研究へ、米ペン大が申請」
http://newswitch.jp/p/5042
ウェブ現代 2016年6月30日付「がん治療が激変!? 夢のゲノム編集技術「クリスパー」、いきなり医療の本丸へ」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49044

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