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2017年3月16日木曜日

光免疫療法はあらゆるがんに対応 「局所を治療することで全体が治っていく」

勉強の為に引用しました。

★近赤外線でがんが治る・後編
近赤外光線免疫療法の仕組み
近赤外光線免疫療法の仕組み
 テレビのリモコンなどに使われている人体に無害な近赤外線を当て、がん細胞を壊す「近赤外光線免疫療法」(光免疫療法)。開発者の米国立がん研究所(NCI)主任研究員の小林久隆氏によると、安価で患者の体力への負担も少ない治療法の実用化に向け、すでに米国で臨床試験に入っているという。
 光免疫療法は、がん細胞にくっつく性質を持つ抗体に色素を付け、体内に送り込む。そこに近赤外線を浴びせると光化学反応が起こり、がん細胞が破壊される-という仕組みだ。
 小林氏はこの手法を用い、免疫細胞の攻撃から、がん細胞を守っている「制御性T細胞」を叩くことにも成功。制御性T細胞が壊れると、免疫細胞が活性化され、がん細胞を死滅させることも突き止めた。
 「もともとがん細胞の近くにいる免疫細胞は、がん細胞を攻撃するよう“教育”されており、転移がんにも有効に働く。局所を治療することで、全体が治っていくというイメージだ」と小林氏。光免疫療法は身体の表面に近い皮膚がんだけでなく、肝臓がんや大腸がんなどあらゆるがんに対応できるというから驚く。
 これまで、がん治療の主流は身体への負担が重い「外科手術」や副作用が強い「抗がん剤治療」だった。光免疫療法は現在、米国で臨床試験が実施されており、実用化にこぎ着ければ、こうした従来のがん治療の概念は一変することになりそうだ。
 そもそも、光免疫療法に用いられる抗体は米国で認可された毒性が少ないものを使用、「IR700」も体内に取り込んでも尿中に溶けて排出されるため、体に与える負担は少ないといわれる。
 「治療も2日あれば終了する。1日目は(抗体を体内に入れる)点滴を受けてもらい、翌日に患部に近赤外線を当てるだけ。3センチ以内のがん細胞であれば、6~7分ほどの光の照射で済む。比較的大きながん細胞でも、2時間もあれば治療は終わる」(小林氏)という。治療にかかる初期費用も何度も使える近赤外線装置が1台約300万円と安価なことなどから、患者負担の軽減につながりそうだ。
 まさに夢のようながん治療。受けられる日は、そう遠くなさそうだ。 (三宅陽子) =おわり
 ■小林久隆(こばやし・ひさたか) 1961年西宮市生まれ。87年、京都大医学部卒。95年、同大学院を修了し医学博士修得。同年よりNIH(米国立衛生研究所)臨床センターフェロー。2001年よりNCI(米国立がん研究所)/NIHシニアフェロー。04年よりNCI分子イメージングプログラムで主任研究員として、基礎研究開発部門を設立し主導。近赤外光線免疫療法は、12年にアスピリアン・セラピューテイクスにライセンスされ、15年より最初の臨床治験が開始された。16年12月から同治験はPhase2に進んで進行中。

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