「なぜ重いかばんを毎日持って、登下校しないといけないのでしょうか」。福岡市の中学生の保護者から、そんな声が教育取材班に寄せられた。学校の指定かばんに教科書やノートなどを詰め込むと、10キロにもなるのだという。周りの保護者に尋ねると、同じ思いを抱えていた。背景には何があるのだろう?
⇒【画像】左が現在の中学1年の教科書で、右が「ゆとり教育」時代の教科書。
⇒【画像】左が現在の中学1年の教科書で、右が「ゆとり教育」時代の教科書。
教科書、ゆとり時代の1・5倍
福岡市の中学3年女子を訪ね、かばんを見せてもらった。学校の指定かばんは、大人の会社員がよく使っている「1泊2日出張用」サイズ。縦37センチ、横18センチ、高さ32センチでナイロンのような素材だ。
「毎朝、重いね。サイアク」。友人とよく、そんな話になる。とりわけ主要5教科が重さの主因だという。(1)教科書(2)ノート(3)プリントをとじるファイル(4)ワーク(問題集)があり、資料集が加わる教科もある。
しかもプリントファイルは、授業が進むにつれ、とじる枚数が増える。最終的には数センチ幅にもなるという。「古くなったプリントは見ないけど、ファイルから抜いていいかどうかは先生次第」。かばんに全て入りきらず、別の手提げかばんで持ち運ぶこともあった。
「入学したてのころは、体がゆがまないよう、両肩で持つよう言ってました」と母親。かばんには、リュックサックのような両肩用の取っ手、肩掛け用のひもがあるが、両肩で持つのは年頃の女子たちに「ダサイ」と不評。女子生徒も中学2年のころから肩掛けに変えたという。
これに部活動用のかばんが加わったりすると、雨風の日は大変だろう。荷物が重いなら学校に置けばいいとも思うのだが、学校現場ではこれを「置き勉」と呼び、禁止しているケースが少なくないという。
「毎朝、重いね。サイアク」。友人とよく、そんな話になる。とりわけ主要5教科が重さの主因だという。(1)教科書(2)ノート(3)プリントをとじるファイル(4)ワーク(問題集)があり、資料集が加わる教科もある。
しかもプリントファイルは、授業が進むにつれ、とじる枚数が増える。最終的には数センチ幅にもなるという。「古くなったプリントは見ないけど、ファイルから抜いていいかどうかは先生次第」。かばんに全て入りきらず、別の手提げかばんで持ち運ぶこともあった。
「入学したてのころは、体がゆがまないよう、両肩で持つよう言ってました」と母親。かばんには、リュックサックのような両肩用の取っ手、肩掛け用のひもがあるが、両肩で持つのは年頃の女子たちに「ダサイ」と不評。女子生徒も中学2年のころから肩掛けに変えたという。
これに部活動用のかばんが加わったりすると、雨風の日は大変だろう。荷物が重いなら学校に置けばいいとも思うのだが、学校現場ではこれを「置き勉」と呼び、禁止しているケースが少なくないという。
学力強化へ、プリントも増え
複数の教員に尋ねると、置き勉禁止の主な理由は二つだった。(1)教科書やノートを持って帰らないと自宅学習しない(2)学校に置いたままだと、別の生徒が勝手に使ったり、いたずらしたりする可能性がある。
置き勉をするとどうなるか。クラス担任や見回り担当の生徒が教室内をチェックし、教科書やノートを見つければ、そのまま没収。生徒は教員に謝罪し、返してもらうのだという。
それにしても、最近の教科書は重たい。福岡教育大の図書館に行き、2002年から本格導入された「ゆとり教育」のころの教科書と、学力強化に向け学習内容が増えた現在の教科書を比較してみた。
複数の会社が出版しているため、同大職員に1社ずつ選んでもらい、国語、数学、社会、理科、英語5教科の教科書をそろえて重さを量った。「ゆとり」時代は1・8キロ(上下巻に分かれていた理科は上のみ)だったのに対し、現在は2・6キロと約1・5倍になっていた。
07年に全国学力テストが復活してから、学力志向が強まり、ファイルにとじるプリントも増える傾向にある。福岡県内の50代教員は「自分が中学生のころ、教材にファイルはなかった」と振り返る。かばんは重くなるはずだ。
置き勉をするとどうなるか。クラス担任や見回り担当の生徒が教室内をチェックし、教科書やノートを見つければ、そのまま没収。生徒は教員に謝罪し、返してもらうのだという。
それにしても、最近の教科書は重たい。福岡教育大の図書館に行き、2002年から本格導入された「ゆとり教育」のころの教科書と、学力強化に向け学習内容が増えた現在の教科書を比較してみた。
複数の会社が出版しているため、同大職員に1社ずつ選んでもらい、国語、数学、社会、理科、英語5教科の教科書をそろえて重さを量った。「ゆとり」時代は1・8キロ(上下巻に分かれていた理科は上のみ)だったのに対し、現在は2・6キロと約1・5倍になっていた。
07年に全国学力テストが復活してから、学力志向が強まり、ファイルにとじるプリントも増える傾向にある。福岡県内の50代教員は「自分が中学生のころ、教材にファイルはなかった」と振り返る。かばんは重くなるはずだ。
「置き勉禁止」見直しの動きも
こうした事情を考慮し、置き勉禁止ルールを緩和する学校もある。福岡県内のある中学校では今春から、置き勉禁止の対象を主要5教科の教科書とノートだけにしたという。
「かばんが重すぎる」という保護者からの指摘に加え、最近は学校指定かばんの底や肩ひもが破損する事態も発生。学校がやや高台にあることも考慮し、ルールを見直したという。
「『体力育成につながる』と言う先生もいたけれど、何だか子どもたちに重労働を課しているようでもあった」。50代の教員はそう打ち明けた。
2020年度から小中高校で順次導入される新学習指導要領に伴い、子どもたちの教科書のページ数は増え、かばんはさらに重たくなりそうだ。
置き勉を巡っては、「一人許せば規律が乱れる」という教員に対し、「持って帰っても勉強に使わない」という生徒の声も。一律、前例踏襲ではなく、もっといろんな知恵があるのではないか。先生たちばかりではなく、生徒や保護者を交えて一度、話し合ってみてはと思う。
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「かばんが重すぎる」という保護者からの指摘に加え、最近は学校指定かばんの底や肩ひもが破損する事態も発生。学校がやや高台にあることも考慮し、ルールを見直したという。
「『体力育成につながる』と言う先生もいたけれど、何だか子どもたちに重労働を課しているようでもあった」。50代の教員はそう打ち明けた。
2020年度から小中高校で順次導入される新学習指導要領に伴い、子どもたちの教科書のページ数は増え、かばんはさらに重たくなりそうだ。
置き勉を巡っては、「一人許せば規律が乱れる」という教員に対し、「持って帰っても勉強に使わない」という生徒の声も。一律、前例踏襲ではなく、もっといろんな知恵があるのではないか。先生たちばかりではなく、生徒や保護者を交えて一度、話し合ってみてはと思う。
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学校のかばん「体重の10%」未満に、インド・マハラシュトラ州
勉強の為に引用しました。
2015年07月26日 12:24 発信地:ムンバイ/インド
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【7月26日 AFP】重い学校かばんで押しつぶされそうになりながら通学する子どもたちの姿は世界で共通だが、インド西部のマハラシュトラ(
)州では先週、荷物を入れた学校かばんの重さを児童の体重の10%を超えないよう制限することになった。
同州ではかばんの重さを1年生(5歳)で2.5キロ、8年生(12歳)で4.2キロを上限とする方針。1年生の児童たちは、学校に着いた時点でかばんをはかりに載せ、教員がかばんの重さをチェックする。
同州のナンド・クマール(
)教育次官は行政命令の中で「分厚いノートや教科書、必要のない文房具や化粧品さえ入っていることもあり、子どもたちのかばんは(体重の)20~30%もの重さになっていることが分かった。これでは背骨や関節に問題が起こり、ストレスや疲労にもつながる。子どもの健康にマイナスだ」と語った。
インドでは高等教育への進学をめぐる競争が激しく、子どもたちは良い成績をとるプレッシャーにさらされている。そのため夜も塾通いをする子が多く、塾の分の教材もかばんの重さを増している。
同州政府は子どもたちが何冊も教科書を持ってくる必要がないよう、教員らに宿題や時間割を調整するよう求めた。また保護者たちにも、子どもが必要のない物をかばんに入れないよう気を配ってほしいとしている。行政命令は、違反した場合の罰則については触れていない。(c)AFP
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