水道管で発電する「未来の水車」、ダイキンが小水力発電に参入
ダイキン工業は小水力発電事業に参入すると発表した。自社開発の配管に接続できるマイクロ水力発電システムを利用し、自治体と連携して水道施設などを利用した発電事業を展開する。2020年までに一般家庭2万3300件分に相当する8万4000MWhの発電を目指す計画だ。
空調機器大手のダイキン工業(以下、ダイキン)は、小水力発電事業に参入する。2017年6月7日に事業を行う子会社のDK-Powerを設立。自社開発のマイクロ水力発電システムを利用し、全国の自治体が所有する水道施設などを活用した再生可能エネルギー事業を展開する。
ダイキンは2020年までの戦略経営計画「FUSION20」の中で、エネルギーソリューション事業を重点戦略テーマの1つとして掲げている。マイクロ水力発電システムは2011年度から環境省の委託事業として開発に着手し、これまでに富山県や福島県の水道施設で実証を重ねてきた。
開発した発電システムは、水道施設にある既設の水道管に接続し、配管を流れる水の力を利用して発電する仕組みだ。出力が22kW(キロワット)と75kWの2種類を開発している。一般的な水道施設に導入し設備利用率80%で試算した場合、22kWでは年間154MWh(メガワット時)、75kWでは526MWhの発電量が見込めるという。
発電機とコントローラーを一体化し、配管に接続した水車の上に配置する縦型の構造とすることで、設置面積を一般的なマイクロ水力発電システムの約半分に小型化。大型のシステムを導入する必要がなく、小水力発電の課題である導入コストを大幅に削減できるとしている。「既存の水道施設に設置するため、大規模な施設を新たにつくる必要がなく、各地の水道施設に普及する可能性がある、いわば『未来の水車』」(ダイキン工業)
DK-Powerは自治体が保有する水道施設にマイクロ水力発電システムを設置して発電を行い、メンテナンスも行う。電力消費量の多い上水道施設や、水を多く消費する工場内施設への導入を想定しているという。発電した電力は、FITを利用してDK-Powerが送配電事業者などに売電する。自治体側には売電収益の一部を、設備の設置に伴う施設の賃貸料として支払う仕組みだ。
ダイキンは今後、さらに小型で管水路などにも設置できる10kW級の発電システムも開発する方針で、兵庫県神戸市と共同で実証実験を進めている。2020年までにマイクロ水力発電システムで、一般家庭2万3300件分に相当する8万4000MWh(メガワット時)の発電を目指す計画だ。
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