Bloomberg
2017/09/05
「クリーンミート」ブランソンも出資
餌や土地、水への依存度が低いタンパク質に対する消費者の需要が高まるなか、グローバル農業関連企業の最大手のひとつであるカーギルは、ビル・ゲイツをはじめとするビジネス界の巨人たちの仲間に加わり、自己生成する動物細胞から肉をつくる初期技術に出資した。
サンフランシスコを拠点とするスタートアップのメンフィス・ミーツは、家畜や家禽を飼育・屠殺することなく、動物の細胞から牛肉や鶏肉、鴨肉を直接つくっている。
2017年8月23日付で発表された声明によると、同社はカーギルのほか、億万長者のビル・ゲイツやリチャード・ブランソンらの投資家から1700万ドルを調達したという。
この資金調達ラウンドを率いたのは、ベンチャーキャピタル(VC)のDFJ。同社はこれまでにも、社会意識の高い小売スタートアップ数社を支援してきた。
ブランソンは、ブルームバーグニュースの質問に答えたメールのなかで「メンフィス・ミーツに出資していることに喜びを感じている」と述べている。
「30年もすれば、われわれ人間が動物を殺す必要はもはやなくなり、すべての肉はクリーンか、植物ベースのいずれかになり、いまと変わらない味がし、誰にとってもいまよりはるかに健康的になるとわたしは確信している」
今回の動きは、消費者のニーズに応えようとする農業関連大手の取り組みを示す最新の例だ。とりわけミレニアル世代は急速に、アメリカの食品業界に大きな影響を与える存在になりつつある。
こうした動きの背景にあるのは、オーガニック製品に対する需要の急増や持続可能と考えられる食品に向けられる関心の増加、動物の扱いに対する意識の高まりだ。食肉加工大手はこぞって、従来の肉に代わる製品への取り組みに着手している。
メンフィス・ミーツの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のウマ・ヴァレティは先の声明のなかで「世界中で肉が好んで食べられており、われわれが築いてきた文化と伝統の多くの中心になっている」と述べている。
「従来の肉がつくられる方法は現在、環境や動物愛護、人間の健康といった点で課題がある。こうした問題を誰もが解決したいと思っている」
増え続ける世界人口、持続可能な食料の供給
メンフィス・ミーツは、現在までに2200万ドルを調達している。この事実は、ベンチャー投資家のトップや食肉業界のリーダーによる「クリーンミート・ムーブメント」へのコミットメントを示唆するものだと同社は述べている。
カーギル・プロテインでグロースベンチャー部門のプレジデントを務めるソニア・ロバーツはメールにおいて、カーギルは「メンフィス・ミーツが行う資金調達の最初のシリーズで株式を取得した」と述べている。ただし、投資額については明らかにしていない。
「メンフィス・ミーツの株式を取得したことで、カーギルは培養プロテイン市場に参入して、(メンフィス・ミーツと)協働して革新と商品化を推進することができる」とロバーツは述べている。
「消費者が肉を強く望む傾向は、今後も続くと思われる。われわれの目標は、できる限り持続可能な方法、そして費用対効果の高い方法で、肉を食卓に届けることだ。培養肉と従来の方法で生産された肉の両方が、人々の需要を満たす役割を果たすことになるだろう」
従来型の食肉加工業者による投資は、今回が初めてというわけではない。米食肉加工最大手のタイソンフーズはVCファンドを設立し、増え続ける世界の人口に「持続可能な方法で食料を供給する」企業への出資に注力してきた。
同社は2016年12月、植物ベースの代替肉を製造するビヨンド・ミートへの出資を発表した。ビヨンド・ミートへの早期の資金提供者のなかには、ビル・ゲイツも名を連ねている。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Shruti Singh記者、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:www.memphismeats.com)
©2017 Bloomberg News
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.
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