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今年3月に水道法改正が閣議決定され、民間企業が参入しやすくなった。政府は民間に丸投げしてコスト問題などを解決したい考えだが、これは警戒すべき動きだ。(『田中優の‘持続する志’(有料・活動支援版)』)
プロフィール:田中優(たなか ゆう)
「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表。横浜市立大学、恵泉女学園大学の非常勤講師。著書(共著含む)に『未来のあたりまえシリーズ1ー電気は自給があたりまえ オフグリッドで原発のいらない暮らしへー』(合同出版)『放射能下の日本で暮らすには?』(筑摩書房)『子どもたちの未来を創るエネルギー』『地宝論』(子どもの未来社)ほか多数。
「未来バンク事業組合」理事長、「日本国際ボランティアセンター」理事、「ap bank」監事、「一般社団 天然住宅」共同代表。横浜市立大学、恵泉女学園大学の非常勤講師。著書(共著含む)に『未来のあたりまえシリーズ1ー電気は自給があたりまえ オフグリッドで原発のいらない暮らしへー』(合同出版)『放射能下の日本で暮らすには?』(筑摩書房)『子どもたちの未来を創るエネルギー』『地宝論』(子どもの未来社)ほか多数。
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危険すぎる水道民営化の動き。誰が得をして誰が損をするのか?
ひっそりと水道法改正、民間事業者が参入しやすく
あまり多くの人の注目を浴びないまま、2017年3月に水道法の「改正」が閣議決定され、民間事業者が参入しやすいように改正された。
水道管の更新は0.76%しかされておらず、人口減少が見込まれる今、水道料金の値上げは必至の状況である。そんな中、その運営を民間事業者に託して「直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図る」とするのだが、何を言わんとしているのかよくわからない。
しかし水の現状を知るならば、課題があることに気づくのではないか。簡単に言うと、民間事業者に丸投げして、料金の値上げを伴う「課題解決」させようとしているように見える。
確かにインフラ事業を民間事業者が担っていることも多い。しかしその民間事業者はどうしているのか。電力会社は高給を取りながら潜在的危険性のある原子力発電を運用し、費用の問題から必要な津波対策を怠っていたために大事故を起こし、その対策費用の大半は税金に頼っている。
ガス会社は築地に代わる市場用地を売却したが、その豊洲市場は土壌汚染されていて、施設が完成した後にも移転できずにいる。
むしろ民営化には危機感を持って監視した方がいいのではないか。今の楽観に基づいた「民営化」に、警戒心を持ってほしい。その思いからこの文章を書くことにした。
このままでは「持続不可能」な水道事業
水道料金は水道事業の全額を賄えていない。そのために一部だが、公費(税金)からの支出がされていることが多い。水道管の敷設には莫大な資金がかかるが、高度成長期以降に敷設した水道管の多くは更新の時期を迎えている。
しかしその資金は膨大で、負担しきれないほどの額になっており、そこから水道事業は持続不可能だと考えられるようになった。さらにのしかかるのが人口減少で、1人当たりの水単価を上げなければならない状況だ。
ダムなど恒久的な資産を造っても、その費用を賄えるほどの水道料金を稼ぎ出すことができない。こうした八方塞がりの状況になると、解決策を考えるよりも事態を悪化させる「巨大な改革案」が出されがちだ。「他国と交渉するよりも戦争した方が早い」、「国連を脱退する」とするようなものだ。
まさに水道がその対象となり、「小さな水道は広域化しよう」、「民間企業に任せてしまえ」というような流れになる。
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