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政治
2017年12月9日 朝刊
小野寺五典防衛相は八日、長距離巡航ミサイルの導入を正式に表明した。導入費や調査費として約二十二億円を二〇一八年度予算案に追加要求した。日本の離島防衛などが目的。ただ、射程距離が長いため、敵国のミサイルが飛来する前に発射拠点を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保持になるとの指摘もある。憲法九条に基づく「専守防衛」を超える打撃力を持つことになりかねず、これまでの防衛政策との整合性を懸念する声が与党内から出ている。
防衛省は、三種類のミサイル関連予算を要求した。ノルウェー製の「JSM(ジェイエスエム)」は取得費として二十一億六千万円を求めた。射程は五百キロで艦船と地上目標を攻撃でき、空自が本年度末から配備する最新鋭ステルス戦闘機F35に搭載する。二一年度中の導入を目指す。
米国製の「JASSM(ジャズム)」と「LRASM(ロラズム)」は、調査費計三千万円を要求した。射程はいずれも九百キロ。空自戦闘機F15への搭載を目指し、必要な機体の改修規模を調べる。
小野寺氏はミサイル導入の理由を「敵に近づくことなく、効果的かつ安全に作戦を行うことができる」と説明。離島などの自国防衛が目的で「専守防衛に反しない」として、敵基地攻撃への使用は否定した。
政府は従来、自衛目的なら敵基地攻撃能力の保有は憲法上可能との見解を示す一方、専守防衛の観点から政策判断として保有しないと明言してきた。
小野寺氏は防衛相就任前の今年三月、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める自民党の提言を、自ら主導してまとめた。安倍晋三首相も先月、緊迫の度合いを増す北朝鮮情勢を踏まえ、国会で敵基地攻撃能力の保有について「常に現実を踏まえ、さまざまな検討を行っていく責任がある」と、将来的な検討に含みを残した。
防衛省の決定に対し、自民党内からは懸念も出ている。防衛省の政務三役経験者は「専守防衛の原則と、それを上回る能力の保有との整合性を取らないと、防衛政策の説明もできない」と指摘した。 (新開浩)
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