http://s.kyoto-np.jp/politics/article/20180513000110
京都府がこのほどまとめた府管理51河川の浸水区域図は、近年相次いだ豪雨災害を受けて「100年に1度程度」とした過去の想定よりも厳しい「千年に1度程度」といった条件を設定し、浸水が継続する時間と木造家屋が流される危険区域も新たに示した。対象の市町では避難の方法や場所の見直しを迫られる可能性があり、梅雨と台風の季節を前に水害対策の強化が急がれる。
京都府が鴨川で設定した雨量は24時間で736ミリ。近年では昨年の台風21号により綾部市で523ミリを記録しており、国内では過去最大の24時間雨量は851ミリ(2011年、高知県)の例がある。「現実にあり得る数字」(府砂防課)という。
浸水の深さが3メートルを超えると家屋の1階は水没するとされ、府は2階以上への緊急避難も呼び掛ける。ただ、鴨川の想定では2階部分も水没する深さ5メートル以上の区域が京都市南区に生じるなど、16年前の想定から浸水がさらに深くなっている地点も多い。氾濫による家屋の倒壊や流失が予想される区域も初めて明らかになり、府は「早期に立ち退き避難が必要な区域」の設定が必要としている。
京都市は近く全戸配布する広報紙で、行政区別に府の想定図を掲載する。河川の氾濫と同時に発生する恐れがある土砂災害の警戒区域も示しており、「地域によっては避難経路の再確認が必要になる」(防災危機管理室)と対応を急ぐ。
今回想定を公表したのは13市町・51河川で、まだ全体の約7分の1だ。西脇隆俊知事は先月の就任後、全河川の想定公表を急ぐように指示。府は今後5年間で作業を完了させる方針を決めた。国が管理している府南部の淀川水系4河川、北部の由良川水系では既に新たな浸水区域図が示されている。
府は河川改修を進めているが、財源上の制約があり、府管理河川で時間50ミリの雨に耐えられるのは全体の36%にとどまる。氾濫が予想される地域の福祉施設で避難計画策定が遅れるなど、ソフト面でも課題が山積する。府と市町村は地域団体や民間事業者などと連携を強め、浸水想定図を効果的に使った取り組みが一層求められる。
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