http://www.itmedia.co.jp/enterprise/spv/1801/22/news008.html
金融関連業界を中心に導入が広がりつつあるRPA。アクセンチュアと協力してRPAを導入した三井住友海上もそんな企業の1つ。しかし、同社はもともとExcelマクロを使った業務自動化を進めていた。彼らがExcelマクロに加えてRPAを導入した理由はどこにあるのか?
必要なデータを収集し、人間の代わりに業務を代替してくれる「RPA(Robotic Process Automation)」。人手不足や長時間労働の解消が、企業の大きな課題になりつつある今、ソフトウェアロボットによる業務自動化に注目が集まっている。
AI技術の進化により、従来の簡単な条件分岐だけではなく、将来的には人間的な判断が必要な操作もプログラムに任せられる可能性がある。より広く、さまざまな業務に対応できるとして、期待されていることもあり、日本では金融機関を中心に導入に踏み切る企業が増えてきている。
大手損害保険会社の三井住友海上火災保険(三井住友海上)もそんな企業の1つ。バックオフィス業務を中心にRPAを導入した同社だが、どうやら導入に至った背景が他の企業とは一味違うようだ。
「弊社では、RPAという言葉が出てくるずっと前から、内製でソフトウェアロボットを作るという文化が既にありました。だからRPAの検討がしやすかったのです」
こう話すのは、RPA導入を主導した経営企画部の近田伸矢さんと岡哲平さんだ。既に業務自動化が進んでいた同社が、あえてRPAを導入した理由はどこにあるのだろうか。
年間35万時間の業務を自動化した「1クリックツール」とは
近田さんと岡さんが話すように、三井住友海上における業務自動化の歴史は古い。ソフトウェアロボットが生まれたのは2007年。当時、近田さんは営業企画部に所属しており、Excel VBAでWebシステムを自動操作することで業務処理を効率化していたという。そんな彼に上司が「過去にさかのぼって火災保険料を精査したい」と検討を指示したのが、業務自動化ツール誕生のきっかけだ。
近田さんは、システム部門に在籍していた同僚と共同で、保険の契約条件をExcelに入力するだけで、Webの保険料計算システムで再計算できるマクロを作った。Excel上でボタンをクリックすることで、ブラウザが起動し、自動的にExcelのシートに入っている内容をWebブラウザ上の保険の計算システムに転記する仕組みで、Excelのフォームにブラウザコントロールを埋め込み、ブラウザの中で表示するという、非常に制御しやすい方法を採っている。
このマクロを使うことで、1件処理するのに1時間近くかかっていた業務が、ボタンをクリックするだけで、ほんの数分で終わるようになった。他の業務でもマクロが活用できるのではないか――。このツールが好評だったため、近田さんはマクロを「1クリックツール」と名付け、2010年に開発ユニットを立ち上げた。
0 件のコメント:
コメントを投稿