Pages - Menu

Pages - Menu

Pages

2018年7月3日火曜日

がんは熱に弱いので体を温めて治療します。ハイパーサーミア



勉強の為に転載しました。
日本医療機能評価機構認定病院 / 厚生労働省臨床研修指定病院 / 地域医療連携開放型病院 新座志木中央総合病院

病院のご案内

医療機器の紹介

悪性腫瘍ハイパーサーミア治療装置

悪性腫瘍ハイパーサーミア治療装置
山本ビニター社 「サーモトロン RF-8」

1. がん(腫瘍)の増殖抑制の効果について

1)がん細胞に対して温度が作用するという考え方
最近はあまり見かけなくなりましたが、昔ながらの水銀体温計には41℃までしか目盛が振ってありませんでした。これは、何を意味しているのでしょうか。じつはヒトの細胞は42.5(~43)℃以上に温度が上がると急速に死んでしまうので(図1参照)、体温が41℃以上に上がることはないのです。そこで、温熱療法はこの原理を利用して、“がん”細胞の温度だけを選択的に上昇させて、“がん”を死滅させてしまおうと考案された治療法です。
温熱療法の歴史は古く、熱によって“がん”が消滅したと、医学の父であるヒポクラテス(古代ギリシア,紀元前460-370年)は報告しています。ドイツのブッシュは丹毒に冒され高熱を発した患者さんの“がん”が消失したことを1866年に報告しています。また、アメリカのコーリーは、感染すると高熱を出す数種類の細菌をわざとがん患者さんに注射して、高熱によって手遅れの“がん”の治療を行ったと1900年頃に報告しています。1960年代になって科学技術が進歩すると、有効な加温の方法が開発されるとともに、“がん”に対する温熱の効果が基礎研究によって明らかにされ始めました。

2)温熱療法(ハイパーサーミア)の生物学的効果
すでに述べたように42.5℃以上になると“がん”細胞は死んでいきます。しかし、“がん”細胞の周囲にある正常な細胞も温められて死んでしまうのではないかと危惧される方も多いかと思います。どうして正常な細胞は死なないのでしょうか。じつは正常組織では、がん組織と同じようには温められても、血管が拡張して血液がいっぱい流れることによって、血液が車のラジエーターのように熱を運び去ってくれるのです。ところが、“がん”組織の中にある血管は温められても拡張することができないので、ラジエーターの壊れた車のようにオーバーヒートしてしまい、“がん”細胞だけが温められ死んでいくのです(図2参照)。



しかし、“がん”細胞もただ黙って死んでいくわけではありません。当然、熱による障害を軽くしようとする機構が備わっています。温められてタンパク質が変性すると,熱ショックタンパク 70(Heat Shock Protein 70: HSP70)と呼ばれるタンパク質を産生して、熱による攻撃に立ち向かう態勢を作り、傷ついた細胞を修復していきます。HSP70は熱の攻撃だけでなく、様々な攻撃すなわち様々なストレスによって細胞に発現してきます。一回、温熱療法を行なうとHSP70が発現し、“がん”細胞を熱の攻撃から守っていますので、終了後すぐにもう一回温熱療法を繰り返しても、同じような効果は望めません。このことを温熱耐性と呼んでいます。そこで、HSP70の発現が減少してくるのを待って、2回目の温熱療法を行なった方が、より大きな効果が期待できるのです。こうしたことから、温熱療法は週に1回から2回ぐらいのペースで行うことが多いのです。
“がん”細胞を42.5℃以上に温めることは容易なことではありません。では、“がん”細胞を42.5℃以上に温めることができないと温熱療法は全く効果がないのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。42.5℃以上にならなくても温熱は様々な効果を“がん”細胞にもたらすことが知られています。放射線や抗癌剤の効果を高めたり、最近では免疫力を高めることも報告されています。

3)ハイパーサーミア(局所温熱療法)の抗がん剤などの治療増強効果
  また、温熱療法は抗がん剤と併用して、抗がん剤の効果を増強させることができます。増感効果が知られている抗がん剤としては、シスプラチン(CDDP)、5-FU、マイトマイシンC、アドリアマイシン、ブレオマイシンなどがあります。さらに、体を温めることによって免疫力が活性化されるといわれています。免疫力が高まると “がん”細胞を自分自身の力だけで排除する働きが高まります。最近では、熱単独の効果やあるいは放射線や抗がん剤の効果を高める効果だけを期待するのではなく、免疫力を高める効果を期待して温熱療法を行なうようになってきました。また、今後の研究次第では、“がん”の増殖を抑える“がん”の休眠療法の一つとして温熱療法は期待されています。


2.温熱療法(ハイパーサーミア) Q & A

Q.ハイパーサーミアとは何ですか?
A.ハイパーサーミア "hyperthermia"とは温熱療法のことです。狭い意味では癌に対する温熱療法をさしています。通常は40~45℃程度の温度を使った治療を意味していますが、広義的には最近開発されたラジオ波(RF波)やマイクロ波を使ったより高い温度(70℃~)での治療も含まれています。
癌治療以外でも前立腺肥大症のような良性疾患の一部でも有効です。
また、近年の研究ではハイパーサーミアにより免疫力がアップしたり、運動能力がアップしたりすることがわかっています。

Q.ハイパーサーミアはどんながんにでも効果があるのでしょうか?
A.理論上はあらゆる癌に有効ですが、実際には温めやすいもの・温めにくいものなど様々です。また、施行施設によって様々ながんに対する治療の得手・不得手もあります。
これらのことを踏まえた上で、無作為試験で有効性を示されている疾患として、再発乳癌・メラノーマ(悪性黒色腫)・子宮頸癌・直腸癌・膀胱癌・頸部リンパ節転移などがあげられます。
これら以外でも脳腫瘍・肺癌・食道癌・肝臓癌・膵臓癌など殆どの癌で、有効であった患者さんが多数報告されています。(白血病・リンパ腫など血液のがんはあまり報告がされていません)

Q.ハイパーサーミアを行なうことで手術を行わなくても良いのですか?
A.今のところ、がんに対して“必ず十分な加温ができる”装置は開発されておらずハイパーサーミアだけでがんが根治できるのは稀と考えられています。ですので、放射線治療や抗癌剤治療と組み合わせるのが一般的です。

Q.ハイパーサーミアは転移がんや再発がんにも効果があるのでしょうか?
A.有効性が示されている再発乳癌や頸部リンパ節転移以外の転移がんや再発がんでも、効果的なことが多々あります。

Q.保険適応はありますか?費用はどのくらいかかりますか?
A.現在保険適応のあるハイパーサーミアはラジオ波あるいはマイクロ波をつかった局所・領域加温のみとなっております。保険点数は一連で深部加温では9000点、浅部加温では6000点となっております。

Q.ハイパーサーミアを受けるのに年齢制限はあるのか教えて下さい。
A.年齢制限はありません。しかし、1時間近くかかるので、その間機械の上で寝ている状態を保持できないと施行できません。

Q.ハイパーサーミアは3日以上間隔をあけた方が良いと聞きましたが、毎日(例えば5日連続)できないのでしょうか?
A.体が温められると、熱ショック蛋白が産生されます。この熱ショック蛋白が産生されると熱に対して効きが悪くなるため(熱耐性)、もう一度加温してもなかなか癌細胞は死んでいきません。熱ショック蛋白は加温後72時間以内で消失しますので、一般的には週に1回もしくは2回のペースでハイパーサーミア治療を行なうのが普通です。


4. 治療計画と費用

■治療の回数:当院では、一連の治療の目安を10回(※)としています。週に1回前後の治療を行いますので、約3ケ月程度実施します。
効果がある患者様には、更に10回毎の治療を継続します。
1回の治療(加温時間)は、45分行います。
※患者様には個人差があり、効果の有無が判断されるのに平均10回とされているためです。
■治療の効果:腫瘍の増殖抑制、抗がん剤の効果増強 などがあります。
■治療の副作用:治療時に熱感や発汗、軽度の痛み等があります。
■問合せ窓口: ℡ 048-474-7211 
 ※お知らせ
   現在予約多数の為、温熱治療開始までお時間を頂くことがあります。
   詳しくは、外科外来までお問い合わせ下さい。


※受診希望の方は、主治医からの診療情報提供書をもって、金曜日にいらしてください。
平成27年12月


関連情報:

近赤外線で治療 がんセンター3月から治験へ

勉強の為に転載しました。




 近赤外光を使ってがんを治療する「がん光免疫療法」の国内初の治験(臨床試験)が、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で3月に始まることが決まった。再発頭頸(とうけい)部がん患者を対象に実施する。同療法の実用化を目指す米製薬ベンチャー「アスピリアン・セラピューティクス社」が13日にも発表する。同療法は、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員が開発した。
 がん細胞表面のたんぱく質に結びつく「抗体」に、近赤外光によって反応を起こす化学物質を付着させ、患者…
この記事は有料記事です。
残り588文字(全文820文字)
24時間100円から読める新プラン!詳しくは こちら
いますぐ登録して続きを読む
または
登録済みの方はこちら



0 件のコメント:

コメントを投稿