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ドラッカーで読み解く農業イノベーション(5)
2010.11.26(金)
イノベーションの第3の機会──「ニーズ」(2)
「ニーズに基づくイノベーションは、まさに体系的な探求と分析に適した分野である」(『イノベーションと企業家精神』ピーター・ドラッカー著、上田惇生訳、ダイヤモンド社)
コメ専業農家に作物の転換を促す
前回から、コメ専業の大規模農家がどうやって生き延びていけばいいのかを考えています。
兼業農家との競争によって大規模専業農家がバタバタとつぶれていく悪夢を回避する方法は2つあるとお話ししました。
1つは、もうしばらく減反制度を続け、兼業農家がこれ以上は減らないと考えられる水準まで落ちてから、減反を廃止するか否かを決めることです。
今回、お話しするのはもう1つの方法です。それは、発想を逆転し、専業の大規模コメ農家に作物の転換を促すことで需給の調整を行うことです。
すなわち、コメ以外の作物で、単位面積当たり労働時間がコメ並みの作物を開発するというイノベーションです。
農水省が政策的に推したいのは麦やトウモロコシ、大豆など、自給率が低い国際商品となりますが、筆者が注目しているのはアワ、ヒエ、キビなどの雑穀です。なぜなら、この分野は国際商品と比べ、単価がべらぼうに高いのです。
生産者が業者に売り渡す価格でも、だいたいコメの2倍。小売りされる末端価格では1キロ2500円程度。魚沼産コシヒカリの中でも最も高価とおぼしき「天空米」とほぼ同価格ですから、いかに高価に取引されているのか分かるでしょう。
余計なことを書けば、これほど高価だからこそスティック状にパッケージングし、ご飯と混ぜることを勧める売り方をされるのです。5キロ袋などで売れば、あまりの高価さに顧客は驚き、購入意欲をなくしかねません。
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