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ニューデリー(CNN) アフリカや中南米で作物に壊滅的な被害をもたらしている害虫が、インドで新たに発見され、インド国内やアジアの農業に影響が及ぶことへの懸念が強まっている。
問題になっているのはトウモロコシなどの作物を食い荒らす「ツマジロクサヨトウ」という害虫。当局によると、インド南部カルナタカ州で確認されたほか、隣接するタミルナドゥ州の農業大学のキャンパスでは、トウモロコシの約15~20%でツマジロクサヨトウの痕跡が見つかった。
アフリカでは十数カ国に被害が広がり、ジンバブエでは作物の70%に被害が出た地域もある。国際農業生物化学センター(CABI)や英国際開発省によると、ツマジロクサヨトウによるアフリカ諸国の被害額は、24億~61億ドル(約2672億~6792億円)に上る見通し。
インドの被害が東部の近隣諸国に拡大するのは確実だとCABIは予想する。バングラデシュ、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、中国といった東アジアや東南アジアの国は、ツマジロクサヨトウの繁殖に適した環境にあるという。
いったん繁殖したツマジロクサヨトウに対しては打つ手がないのが現実だ。駆除を試みたこれまでの対策は、ほとんどが失敗に終わっている。
インド農業研究協議会の研究員は、最悪の事態も予想されると話し、「この害虫がどのように拡散するのかもまだ分かっていない」と指摘した。
インド全土で実態調査の呼びかけも行われているが、既に手遅れかもしれないと専門家は危惧する。「かなり前から存在していたらしい。既にカルナタカ州を越えて拡散していたとしても驚かない」とCABIの専門家は言う。
CABIや国連食糧農業機関(FAO)などの国際機関もインドの状況を注視している。
害虫が繁殖するペースを減速させる方法や、生物農薬を使って繁殖を食い止める方法についても研究が進められている。しかしインドではまだ拡散の初期段階にあり、「どんな対策が有効なのか分からない」と専門家は危機感を強める。
ツマジロクサヨトウは繁殖のペースが速いことから、インドは対策を急ぐ必要がある。しかしそれでも根絶はできないとCABIの専門家は予想、「アジアに到達した今、アジアにおける恒久的な問題となるだろう」と語った。
ツマジロクサヨトウは中南米の熱帯地域や亜熱帯地域を原産とするガの幼虫で、広大な距離を移動でき、大規模な対策を行っても駆除することができない。
トウモロコシのほか、コメやサトウキビ、綿、野菜などの作物も餌とする。
アフリカ南部ではトウモロコシに壊滅的な被害が発生し、ザンビアは空軍まで出動させて殺虫剤を散布した。
国境や大陸を越えた拡散は、農作物の輸送や、成虫のガが繁殖のために長距離を飛ぶことに起因する。「全てを見つけて駆除することは不可能だ。あまりに増殖のペースが速い」と専門家は警鐘を鳴らしている。
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