ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」思い出す人が続出
京都大・大学院の萩原正敏教授らの研究チームは9月4日、ダウン症で障害を引き起こす原因の一つとされる遺伝子の働きを抑制する、新たな化合物を発見したと発表した。出生前にの胎児を対象にした治療につながる可能性がある。
研究チームは新化合物を「アルジャーノン」と命名。今後論文が、アメリカ科学アカデミー紀要に掲載される予定だ。時事ドットコムなどが報じた。
ブリタニカ国際大百科事典によると、ダウン症は21番染色体が1本多くあることで起こる。知的障害や心疾患などの合併症を伴い、出生前診断が可能だが、根本的な治療法は存在していない。
研究チームは、ダウン症の人では神経細胞の増加を抑える遺伝子が過剰に働いていることに着目。この遺伝子の働きを妨げ、神経細胞の増殖を促す化合物を、717種類の候補から探し出した。
実験ではダウン症の胎児を妊娠した母マウスに、アルジャーノンを5日間投与。この結果、胎児には大脳皮質が通常より薄くなるダウン症の特徴が出なかった。
さらに、研究グループは、ダウン症の人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った神経幹細胞でも効果を確認した。
京都新聞によると、萩原教授は「ダウン症だけでなく脳梗塞やパーキンソン病など、ほかの病気にも応用できるはず」と話しているが、「人のダウン症へ使うには、安全面の課題を解決した上で社会的な合意が必要となる」としている。
■「アルジャーノン」の名前に「なぜ?」の声
このニュースに対し、Twitterでは「アルジャーノンという名前が気になる」「ラストを知っていてのネーミングか?」などの投稿が見られた。 作家ダニエル・キイスのSF小説『アルジャーノンに花束を』に登場するネズミが、「アルジャーノン」という名前だったためだ。
Advertisement
毎日新聞によると研究チームはこの小説のことも意識したとしている。
■『アルジャーノンに花束を』ってどんな物語?
小説は、知的障害のある男性・チャーリーが主人公の物語だ。
チャーリーは外科手術によって知能を上げる研究をしている教授らから、人体実験に誘われる。教授らは、ネズミのアルジャーノンを、天才にする手術に成功していた。
手術を受けて天才になったチャーリーは、複数の外国語を理解し、数学や物理学にも精通する。しかし、自分がモルモット扱いされていることに気が付き、ネズミのアルジャーノンを連れて教授らの元を逃げ出す。
ところが、しばらく経つとアルジャーノンに異常行動が増えるようになる。手術により上がった知能の向上は一時的なものと気がついたチャーリーは、「人為的に誘発された知能は、その増大量に比例する速度で低下する」との結論に達するのだった...。
■ネットの反応2「あえてのアルジャーノンか?」
他にもTwitterには「皮肉?」「そこはむしろ、チャーリーで」「今度こそ幸せになるためにあえてのアルジャーノンだとすれば科学者の願いが見えてくる気がせんでもない」など、さまざまな投稿が見られた。
0 件のコメント:
コメントを投稿