https://nazology.net/archives/22984
Point
・苔の一種であるケビラゴケは、スイスやニュージーランドでは嗜好品や医療用で合法ドラッグとして使われている
・薬効成分であるペロッテティネン(PET)は構造が大麻のテトラヒドロカナビノール(THC)に似ているが、受容体への結合力は10分の1程度しかないことがわかる
・抗炎症分子を抑えることから、鎮痛剤や消炎剤として医療に応用できる可能性
・苔の一種であるケビラゴケは、スイスやニュージーランドでは嗜好品や医療用で合法ドラッグとして使われている
・薬効成分であるペロッテティネン(PET)は構造が大麻のテトラヒドロカナビノール(THC)に似ているが、受容体への結合力は10分の1程度しかないことがわかる
・抗炎症分子を抑えることから、鎮痛剤や消炎剤として医療に応用できる可能性
カナダで合法化された嗜好性大麻。しかし今回、同様かそれ以上の効果を得られる植物が見つかりました。
ゼニゴケの一種(ケビラゴケ)は、スイスやニュージーランドなどでは合法ドラッグとして嗜好品や医薬品に使われています。この植物にはペロッテティネン(PET)という、大麻の向精神成分テトラヒドロカナビノール(THC)と化学的に構造が似た物質が含まれています。
ケビラゴケは、大麻の煙が引き起こすような穏やかなトリップを誘発し、ゾクゾクした感じや体外へ抜け出す感じを味わえるといわれています。今回の研究では、このケビラゴケに含まれる成分が、THCと似たような様式で作用し、医療目的での利用では、大麻よりも有用である可能性がスイスの研究者によって示されました。研究は10月24日の“Science Advances”で発表されています。
Uncovering the psychoactivity of a cannabinoid from liverworts associated with a legal high
http://advances.sciencemag.org/content/4/10/eaat2166
http://advances.sciencemag.org/content/4/10/eaat2166
研究のために使われたPETやTHCは、化学的に合成されたものです。というのも天然のPETは安定性が低く、苔から抽出するには大量の原料が必要となるからです。この合成されたPETが、大麻成分のレセプターであるヒトのカナビノイド受容体と作用するかを試験管内で調べたところ、結合していることを発見しました。しかし、その強さはTHCの10分の1程度で、セロトニンやドーパミン受容体との結合が見られたのは高濃度の場合でのみでした。つまり、ケビラゴケの向精神効果は大麻よりも弱いのです。
また、溶液中の抗炎症分子の量を減少させるという、THCには見られない効用もみられました。つまり副作用が少なく、鎮痛剤として使える可能性もあります。
マウスにPETを注射する実験も行われましたが、投与されたマウスは動かない時間が長くなり、怠惰になったり、痛みを感じにくくなったりといった現象がみられました。実際、ニュージーランドのマオリ族にも、数百年に渡って消化器官や肝臓の病気の治療に使用されていました。向精神的な作用が弱いこともあり、法律的にも大麻より医療目的としての魅力は高いと考えられます。
しかし、実際に医療用に応用するためには多くの基礎研究や臨床研究が必要となります。PETの化学組成をより効果的に改変する必要もあるでしょう。まだ研究は始まったばかりです。
via: Motherboard/ translated & text by SENPAI
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