Pages - Menu

Pages - Menu

Pages

2019年9月29日日曜日

血圧は下げるな、危険!? 医師「高血圧は作られた病気」

勉強の為に転載しました。
https://dot.asahi.com/wa/2018030700008.html?page=1

「血圧の数値を気にすることじたいストレスになります」(松本氏)
「血圧の数値を気にすることじたいストレスになります」(松本氏)

図1 日本における脳卒中死亡の変化(週刊朝日 2018年3月16日号より)
図1 日本における脳卒中死亡の変化(週刊朝日 2018年3月16日号より)

図2 血圧レベルと総死亡率(年代別)(週刊朝日 2018年3月16日号より)
図2 血圧レベルと総死亡率(年代別)(週刊朝日 2018年3月16日号より)
 高血圧は脳卒中を引き起こすという説が、現代医療の常識となっている。血圧が140を超えると降圧剤が処方され、生涯飲み続けることになるが、薬で血圧を下げると、かえって脳梗塞のリスクが高まるという調査結果もある。本当に薬で下げる必要があるのか。

【図表でみる】血圧レベルと総死亡率はこちら

 病院で血圧を測ったら、上が160もあった。医師から高血圧症と診断され、降圧剤を処方された。しかし、その血圧は本当に自分の数値なのだろうか。

『高血圧はほっとくのが一番』などの著書があるサン松本クリニック院長の松本光正氏はこう語る。

「血圧は一日のうちでも大きく変動し、平気で50や60は上下します」

 松本氏自身の場合でも上の血圧で見ると、起床時は110くらい、車に乗って職場に着くと130になっている。さあ、これから仕事をしようという心構えもあって上昇するのだ。仕事を終えた直後は、緊張感が持続して160に。駅の階段を上っているときなどは、200近くになるという。患者が診察を受けるときも「白衣高血圧」といって、緊張して血圧は上がるもの。松本氏が続ける。

「患者さんに階段を駆け上がらせて、てっぺんで医者が血圧計を持って待ち構えているようなもの。それで『あなた、血圧高いですね。薬飲みなさい』というのが今のやり方です。一番のんびりしている時間帯に測って、低ければ何も問題はない」

 しかも、高血圧の診断基準はどんどん下げられてきた。1983年に厚生労働省(当時・厚生省)が老人保健法による基本健診を開始したときのガイドラインでは、正常血圧は収縮期140mmHg未満/拡張期90mmHg未満を基準とし、医療機関での受診を勧める「要医療」は180mmHg/100mmHg以上だった(以降、単位は略す)。

 ところが、臨床学会である日本高血圧学会が2000年、正常血圧を130/85未満とし、140/90以上を高血圧と判定した。このため、治療の対象者数は190万人から一気に2670万人まで増加したのだ。08年、特定健診(メタボ健診)のスタート時には厚労省も学会の基準に倣っている。高血圧学会は14年にもガイドラインを出しているが、140/90以上を高血圧としたままだ。

『長生きしたければ高血圧のウソに気づきなさい』の著者で、東海大学名誉教授の大櫛陽一氏が指摘する。

「高血圧は作られた病気です。血圧の基準値を下げれば当然、治療対象者は増えます。欧米では90年代に製薬企業が多くの降圧剤を開発し、その売り上げを伸ばすために政治家や臨床学会に利益供与を行い、WHO(世界保健機関)などに圧力をかけた。やはり高血圧の治療ラインを140/90以上に下げさせたのです。彼らは“高血圧マフィア”と呼ばれ、日本もその影響を受けたわけです」

 その後、欧米では歪められた基準に対して改革の機運が高まり、研究費の寄付など利益相反行為に対して莫大な罰金が科せられるようになった。米政府は13年に、60歳以上で“年齢プラス90”までが基準値で問題ないと発表した。

 だが、日本はいまだ“高血圧マフィア”の影響から抜け出せていないという。

「降圧剤と血管拡張剤を合わせると年間約9千億円という巨大市場になっている。日本の医者は『本態性高血圧=原因不明』という病名をつけて、降圧剤を処方していますが、血圧は必ず理由があって上がるのです。その原因を突き止めようとしないで、血圧が高いから下げるという対症療法は最悪で医者の怠慢というほかありません」(大櫛氏)

 年をとれば血管は硬くなり、加齢とともに血圧が上がるのは自然なこと。大櫛氏によれば、このほか高血圧の原因として挙げられるのは、(1)ストレス、不安(2)アルコール、運動不足、睡眠不足(3)高血糖、閉鎖不全弁膜症、慢性貧血、腎動脈狭窄などの病気がある。

「診察や健診で高血圧とされたほとんどの人は(1)と(2)です。(3)の病気が原因の人はごく一部です。仕事が忙しすぎれば労働環境を改善したり、食事や飲酒、運動不足など生活習慣を見直したりすればいいのです」(大櫛氏)

 原因を取り除かずに薬で下げても、また血圧は上がってくる。そのため、薬の量を倍にしたり、複数の薬剤を併用したりするようになる。現在、血圧を下げる薬には、血管を収縮させる物質の作用を抑制するARBや、血管拡張剤のカルシウム拮抗剤などがある。いずれも、めまいやふらつきを起こすなど副作用も少なくない。転倒による事故や風呂場での水死につながる事例もあるが、最も懸念されるのは脳梗塞になるリスクが高まることだ。

高血圧は脳卒中を引き起こすと言われているが、脳卒中には「脳梗塞」「脳内出血」「くも膜下出血」の3種類がある。上の図1を見ると、高血圧によって血管が破れる脳出血死亡は51年に95%を占めていたが、現在は激減し20%台で横ばいになっている。現代は昔とちがって栄養状態が良くなり、血管が丈夫になって破れにくくなったと考えられている。逆に脳内の血管が詰まる脳梗塞が増えた。

「脳梗塞は血圧が低いときに起きる疾患です。脳の血管が詰まりかけたとき、血圧を上げて血栓を押し流そうとしているのに、薬で血圧を下げたら命取りになります。私は降圧剤を飲んでいたせいで脳梗塞になった患者さんを何人も診てきました」(前出の松本氏)

 大櫛氏は福島県郡山市で降圧剤治療を受けている約4万1千人を対象に6年間、追跡調査した。その結果、180/110以上の人で脳梗塞による死亡率が、降圧剤を使わない人より約5倍も高くなったという。

「血圧180の人が基準値を目指して、強い治療を受けたことが原因です。血圧は20以上下げると危険だということがわかります」

 ここに、神奈川県伊勢原市で約2万7千人を対象にした大櫛氏の調査結果がある。年代別に血圧レベルと死亡率の関係を検証したところ、70代で180/110以上が微増しているが、80歳以上ではほとんど死亡率との関係性は見られなかった。高血圧よりも降圧剤のほうが怖いのだ。降圧剤治療が必要なのは、心臓や血管が肥大するなど重症化したケースだ。風呂上がりや就寝前など安静時に「年齢プラス90」以下ならば、まず降圧剤は不要という。ただし、減薬・断薬は注意深く行う必要がある。

 大櫛氏が説明する。

「一度にやめると、薬によって抑えられていた血圧が一気に上昇する危険性がある。冬場は避けて暖かい時期から行うようにします。薬の量を半分にするか、隔日にして徐々に減らしていきましょう。数カ月で元の血圧に戻ったら、そのとき全量を中止します」

 まずはストレス解消を。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日 2018年3月16日号

0 件のコメント:

コメントを投稿