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2019年10月3日木曜日

「5G」と「Wi-Fi 6」の違いとは? 共存する必要はあるのか

https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1908/06/news05.html
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 2019年08月06日 05時00分 公開

どちらも「Gbps」を無線で実現「5G」と「Wi-Fi 6」は電波の面でも、用途の面でも干渉し合う可能性がある。2つの間に起こるのは競争か、共存か。

[Craig MathiasTechTarget]

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 無線ネットワークの2つの新しい規格が、ほぼ同時に登場した。無線LANの新規格「IEEE 802.11ax」(以下、無線LANの業界団体Wi-Fi Allianceの製品認証プログラム名である「Wi-Fi 6」と記載)と、モバイル通信向けの最新規格である「5G」(第5世代移動体通信システム)だ。これらの規格は、これまで利用されてきた無線ネットワークを基礎にして、Gbpsを超えるスループット(データ伝送速度)を実現する使命を担っている点で共通している。
 5GとWi-Fi 6を比較してみると、その共通した特性から一つの疑問が生じる。本当にこれらのテクノロジーが2つとも必要なのだろうか。職場、自宅、公共の場などさまざまな環境で利用する無線ネットワークの規格を1つに統一すべき時が来ているのではないだろうか。音声や動画サービスの利用、IoT(モノのインターネット)デバイスからインターネットへの接続など、全ての用途を1つのネットワークサービスで賄うということだ。もちろん、それを実現するのは容易なことではない。
 5GとWi-Fi 6には、似た特徴がある。どちらもIPをベースにした仕組みによって、多様なデータを伝送できる。電波を効率的に利用するために、限られたチャネル(データの送受信に用いる周波数帯)で複数ユーザーの接続を可能にする「OFDM」(直交周波数分割多重方式)を採用している点も共通している。データ伝送速度の点では、5GもWi-Fi 6も、Gbpsを実現する仕様となっている。利用する環境によっては10Gbpsでのデータ伝送も不可能ではない。この2つのテクノロジーを利用して、ユーザーが感じるパフォーマンスの違いはほとんどないということだ。

5GとWi-Fi 6の相違点

 違いの一つは、5Gなどのモバイル通信は通信事業者が提供することだ。通信事業者は特定の地域で電波を利用するためのライセンスを、周波数オークションで取得する。これによって通信事業者同士で電波干渉の問題が起きないようにしている。通信事業者は、特定のエリアで、独自の通信容量や事業目標に合わせてネットワークを設計する。
 対してWi-Fi 6は、他の全ての無線LAN規格と同様、利用する周波数帯はライセンスの対象にはなっていない。つまり常に電波干渉の問題がつきまとう。ただし電波干渉を緩和するための仕組みを導入したり、通信経路を前世代の無線LAN規格よりも増やしたりすることによって、Wi-Fi 6のデータ伝送のパフォーマンスは非常に高くなる。
 Wi-Fi 6は周波数の利用効率や安定性、バッテリー消費の効率なども、前世代の無線LAN規格よりも強化されている。ネットワーク管理者であれば早期にWi-Fi 6にアップグレードしたくなるだろう。

5GとWi-Fi 6の共存

 5GとWi-Fi 6を同一のエリアで利用するケースでは、これら2つの無線ネットワークの在り方は複雑になる。無線LAN機器の近くで5Gの電波を利用すると、干渉が起こるという実験結果がある。ただしビルの所有者や運営者は、施設に設置する機器を細かに制御できるので、綿密に計画することでこうした干渉問題の発生を回避できるだろう。
 屋内に設置するマイクロセル(小出力の基地局)、中継器、分散アンテナシステムなどを使った手法を用いれば、Wi-Fi 6との干渉を起こすことなく、5Gのトラフィックを屋内に引き入れることができる。総合的に見て最も有効な解決策は、5GとWi-Fi 6間で接続を切り替え(ローミング)可能にすることだ。これが、Wi-Fi Allianceが現在検討すべき優先課題だといえる。
 モバイル通信が無線LANに勝る分野の一つが接続時の認証で、このことは5GとWi-Fi 6の比較にも当てはまる。モバイル通信を使った接続は簡単で、モバイルデバイスの電源を入れるだけだ。事業者間のローミングをユーザーが意識することはほとんどない。無線LANは一般的に、使用可能なSSIDを選択してセキュリティキーを指定する必要がある。
 Wi-Fi Allianceは、無線LANへの接続をモバイル通信と同程度に簡単にしようと、「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」という仕組みを考案している。これはモバイルデバイスを公衆無線LANサービスに自動的に接続させる機能を実現する。Wi-Fi 6の登場は、この仕組みのメリットを生かす絶好の機会だ。

シームレスな接続を求めて

 5GとWi-Fi 6は、競争よりもずっと大きな協力関係を築く関係になるだろう。例えばビジネス利用の携帯電話は、2020年以降は両方の規格に準拠している可能性が高い。そして5GとWi-Fi 6間のローミングをユーザーが意識することは、数年のうちになくなる可能性がある。そうなればユーザーは、どちらのテクノロジーを使用してインターネットに接続しているかを気に掛けることはない。両方を頻繁に切り替えて使用していても気付くことはないだろう。
 競争は5GとWi-Fi 6の間で起きるのだろうか。そうは思えない。むしろユーザーは、これら2つのテクノロジーを両方とも利用し、優れたモバイルネットワークへの歩みを進めることになるだろう。特に争いを起こす必要はない。

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