おがくずの代わりにタオルできのこ栽培
大阪・ 忠岡町: 泉州タオルで キノコ栽培 ブランド化へ
大阪府忠岡町と町商工会が泉州産のタオルを使ったキノコ栽培に乗り出す。甲南大の田中修特別客員教授(69)=植物生理学=が開発した、おがくずを使わない栽培技術を活用した試み。ノウハウを地元業者に無償で提供し、来年度中の事業化を目指す。面積が3.97平方キロと町として日本一小さい忠岡町は「狭い場所でも栽培できるキノコを町のブランドに育て上げたい」と意気込んでいる。
田中教授によると、一般的なキノコ栽培は、おがくずに菌糸を付け、養分として米ぬかを加えて容器で育てる。収穫後におがくずが廃棄物になるデメリットがあるが、田中教授は米ぬかから養分となる液体だけを抽出し、繊維に浸してキノコを育てる方法を見つけた。この技術は今年2月に特許登録された。
おがくずの代わりにタオルを使えば、洗濯して何度も利用できる。商工会の元職員が、田中教授の講演を聞いたのがきっかけで事業化の話が進んだ。
キノコ栽培は室内の温度調整や無菌化などの環境管理が重要で、商工会は空き家の町営住宅(木造2階建て)を改装し、6月にも実証実験を始める。計画では1階(約30平方メートル)にプラスチック製の栽培容器約2000個を設置。中にタオルを入れ、栄養液に浸して栽培する。
健康的なイメージを強調しようと、タオルは化学肥料を使わない綿製のものを地元業者に特注した。実験ではエノキダケやエリンギなどさまざまな種類を栽培するが、事業化の段階で商品力のある品種に絞り込むという。
面積が狭い忠岡町に広い遊休地はなく、企業誘致は難しい。かつてはニットなどの繊維業が盛んだったが、1968年に291あった町内の製造業者は100軒以上減った。町は「付加価値のあるキノコを作って特産品にできれば活性化につながる」と期待。田中教授は「『繊維の町のキノコの里』として、ブランド化できればうれしい」と話す。【山下貴史】
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