どのような組織にも“始めやすい”クラウドへの遠隔バックアップが登場
arcserve Japan合同会社
ソリューション統括部
プリンシパルコンサルタント
近藤 大介氏
Arcserve Business Continuity Cloud(以下、Arcserve Cloud)は自然災害などによるサイト障害からデータを守り、システムを継続的に利用できるよう、Arcserve自身が構築したクラウドサービスの総称だ。大きく2種類のサービスが存在するが、どちらにも共通していえることは、どのような組織でも遠隔地バックアップを“始めやすい”ということだ。Arcserve Japan 近藤 大介氏は、次のように語る。
「これまでパブリッククラウドは、遠隔地のバックアップ先として注目されながらも、利用料金がわかりにくくコストコントロールが難しいために、今ひとつ浸透してきませんでした。
Arcserve Cloudは、サーバーを購入するなどの初期投資が要らないといったクラウドの通常のメリットはそのままに、明朗会計であることが大きなセールスポイントです。データ転送に課金がなく、かかるのはストレージやコンピュートリソースコストのみ。ひと月の金額が事前にわかるため、安心して始めていただけます。
また2種類のサービスともに、データを保護するBaaS(Backup as a Service)と、システム復旧までカバーしたDRaaS(Disaster Recovery as a Service)の運用モデルがあり、お客様のお望みのレベルで資産保護を実現できます」
2種類のサービスとは、Arcserve UDP Cloud HybridとArcserve UDP Cloud Directを指す。前者はすでにArcserve UDPを導入済みのユーザー向けクラウドサービスで、後者はArcserve UDPを導入していなくても、さらにいえばこれまでバックアップ自体を行ったことがないという場合でも、容易にクラウドへのバックアップを実現できる仕組みだ。それぞれ次ページ以降で詳しく見ていこう。
Arcserve UDPユーザーなら自動的にクラウド転送できるArcserve UDP Cloud Hybrid
Arcserve UDP Cloud HybridはArcserve UDPユーザー向けクラウドバックアップソリューションである。
BaaSは、Arcserve UDPやArcserve UDP アプライアンスをすでに運用していれば、そのRPSサーバーに格納されているWindowsやLinux、ハイパーバイザーからのバックアップデータをArcserve Cloudへ自動的に複製、つまり遠隔転送することができる。
また、Office365を導入しているなら、Exchange上のメールデータ、SharePointやOneDrive上のファイルの1次 バックアップ先としても利用できる。すでにArcserve Cloud側でサブスクリプションライセンスを所有しているため、別途ライセンスを購入する必要はなく、すぐにバックアップの開始が可能だ。この機能は、単なるデータ資産保護を超えて企業コンプライアンス遵守に活用できるという点でお勧めである。というのも、メールデータやファイルデータというのは万が一の際の“証拠”になるため、組織としては長期保管しておきたい。しかし、現在のWindows環境では、退職などでユーザーを削除するとOneDrive上のファイルはすべて消えてしまう。かといってアカウントを保持し続けるのもコストやセキュリティの観点から難しい。そこでArcserve UDP Cloud Hybridでバックアップを取得しておけば、ユーザーを削除してもデータ類は保管できる。
さらに、このサービスにはインスタント仮想ディスクという“テスト環境”があって、 バックアップデータのファイルシステムが損なわれていないかどうかを自動的にチェックすることができる。
図2●Arcserve UDP Cloud HybridのBaaS運用モデル
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DRaaSでは、Arcserve Cloud上にあらかじめ仮想マシンを用意しておき、オンプレミスのサーバーに障害が発生した際にそのマシンを使って業務を継続するということができる。方法として、新たに仮想マシンを立てる仮想スタンバイとバックアップデータをそのまま活用するインスタントVM の2種類がある。インスタント VMでは、バックアップデータからVM を自動生成・起動して、システム起動状態やネットワーク疎通を確認することもできる。前に触れたインスタント仮想ディスクのシステム版である。これらのDRaaS機能はまもなくサービス開始予定となっている。
図3●Arcserve UDP Cloud HybridのDRaaS運用モデル
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価格は、BaaSなら、東日本リージョンで1TBから1TB単位で増加契約できて月額換算16,000円/TB(支払いは1年サブスクリプション)、西日本リージョンなら4TBから1TB単位で増加契約できて月額換算17,000円/TB(支払いは1年サブスクリプション)だ。Arcserveは発注を受けて7営業日で提供し、ユーザー環境は接続設定するだけなので、遅く見積もっても2週間あれば念願の遠隔地バックアップが実現する。
“いきなり遠隔地バックアップ”を実現するArcserve UDP Cloud Direct
一方、Arcserve UDP Cloud Directは、物理環境でバックアップしていなくても、直接遠隔地へバックアップをしてしまおうというソリューションである。ここでもニーズに合わせてBaaSとDRaaSを提供する。前者では物理サーバーやPC、VMware/Hyper-Vといった仮想基盤、SQL Serverデータベースをデータバックアップし、後者ではArcserve UDP Cloud Hybrid同様、Arcserve Business Continuity Cloud上に仮想マシンを用意してシステム起動まで行う。
仕組み上の大きな特長が3つある。
1つめは、少ない転送量を実現してネットワークの負担を軽減できる点である。フルバックアップを行うのは初回のみ。2回目以降は増分データだけを圧縮して転送し、しかも帯域制御が行えるため、日中の業務時にはぐっと帯域を絞って転送することができる。
2つめには、転送設計でネットワーク障害が考慮されている点がある。転送失敗時はArcserve Cloud側で自動リトライをかけ、回線が復帰したら未送信分のデータから転送を再開する。
3つめに挙げられるのは、データの安全を最大限に重視している点だ。転送時も保存時もデータ暗号化を基本としており、転送時は SSL(sha384) で、保存時は AES 128を採用、信頼できるクラウドを実現している。
現在、Arcserve UDP Cloud Directのリージョンは北米西海岸にある。BaaSなら1TBから1TB単位で増加できて月額換算30,000円/TB(支払いは1年サブスクリプション)。
近藤氏は語る。
「Arcserve UDP Cloud Hybridより割高に感じられるかもしれません、しかし、クラウド構築・設定作業は一切不要で、BaaSならArcserveが受注してから2営業日で運用を開始できます。この機にデータ保護が実現できるとともに、契約容量以内ならバックアップ対象環境は無制限であるという特長を考えれば案外合理的なのではないでしょうか。海外ではArcserve UDP Cloud Directに警察が監視カメラ画像を集約保管していたり、法律事務所が長期保管文書を預けたり活発に利用されています」
図5●Arcserve UDP Cloud Direct導入例
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Arcserve が蓄積した知見の総力を傾けて自ら完成した、クラウドへの遠隔地バックアップ。“遠隔地バックアップなど夢のまた夢”と、これまであきらめきっていた組織にこそぜひ目を向けてほしいソリューションだ。
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