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新型コロナ禍の経営で、不謹慎と思われかねない会社名を逆手に取り、攻めの姿勢を貫く町工場が岐阜県輪之内町にある。その名も「コロナー」。このブランドでほぼ半世紀、法人顧客向けに軍手を製造してきた会社だ。昨年、抗菌手袋のネット販売に乗り出し、コロナ感染の不安を抱える消費者から好評を集めている。 【動画】不織布マスク1枚でOK…富岳で検証
「ふざけた名前だな。こんな時期に社名を変更して、どういうつもりだ」
「便乗商売か」
新型コロナウイルスの感染が広がり始めた昨年春から、こんな誹謗(ひぼう)中傷のメールや電話が同社に多数寄せられるようになったという。「一件一件、丁寧に説明して誤解を解いていましたね」と、社長の菱田男(だん)さん(43)が苦笑する。
同社は、今は亡き父の義光さんが1966年に創業し、9年後、法人化に合わせて現在の社名に変更。人を温める製品イメージを打ち出すため、太陽の外層の大気「コロナ」を由来にし、姓名判断を参考に文字の最後を音引きにしたという。
2001年に引き継いだ菱田さんは、安い海外製品に押されながらも、安定した納入実績や小さい町工場ならではの小回りの利くサービスで乗り切ってきた。だが、19年11月、血管の中の壁が裂けてしまう大病「大動脈解離」で入院。リハビリ生活を余儀なくされ、経営意欲もうせるようになったという。
そんな状況にコロナ禍が重なり、社名に関する批判が殺到。「領収証を切るよう頼む際、社名は言えなかった。ギョッとされてしまうから」。気がめいっていた当時のことを振り返る。
ただ、そこには光明もあった。面識のない東京の中年男性から電話があり、「都会では電車のつり革に触れない人もいる。コロナーという社名だからこそ、対策商品をつくってはどうか」と提言された。
早速、抗菌手袋の開発に着手。一般消費者向けの製品は初めてのことで、試行錯誤を何度も重ねた結果、求めるものが昨年5月の大型連休明けにはほぼ完成。除菌効果のある銅線にポリエステル樹脂を巻き付けた上、さらにナイロンと編み合わせることで、ストッキングのような伸縮性のある製品に仕上がった。
価格は500円(当時)。夏にテレビ番組で紹介されると大きな反響を呼び、ネット販売用に商品を納入する度、すぐに売り切れたという。その後も改良を重ね、現在はスマートフォンなども不自由なく使えるタイプも販売。抗菌用のマスクもネット販売のリストに加えている。
先月には中小企業庁の「ものづくり補助金」事業に採択され、今後、設備拡充を図る。「社名には誇りがあり、我が社が対策商品を手がけるのは意味あることだと思う」と菱田さん。一般消費者向けの製造ノウハウを積み重ねながら、従来の法人向けの戦略にも生かしたい考えだ。
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