伊藤和也
刑事手続きのIT化は昨年7月に閣議決定された「IT新戦略」で、新型コロナウイルスなどの「感染症の感染拡大時にも有用」などとして、「司法府の自律的判断を尊重」しつつ政府において年度内に検討を始めるとされ、法務省や警察庁が諸外国の制度を調査したり意見交換をしたりしてきた。検討会は小木曽綾(りょう)・中央大学大学院法務研究科教授を座長に、刑事法が専門の教授や最高裁と警察庁の幹部ら12人で構成。31日に初会合を開く。
現在の刑事手続きは刑事訴訟法などで、書面と対面を前提に定められている。例えば逮捕や家宅捜索には裁判官が発付する令状が必要で、警察官らが裁判所まで足を運んで証拠とともに請求し、裁判官の審査を受けたうえで受け取っている。北海道や離島の警察署など移動だけでも時間がかかる地域では、オンライン化が実現すれば負担軽減や迅速化が見込まれる。警察と検察、裁判所間のシステムの構築や安全性の確保も検討課題となる。
また公判でも、被告の弁護側に検察が開示する証拠資料などを書面でなくデータでやり取りできるようになれば、印刷する手間や費用が省けそうだ。裁判官らがいる法廷と証人がいる別の裁判所をオンラインでつないで尋問を行う「ビデオリンク方式」の拡大なども論点として想定されるという。
司法分野でのIT化は、刑事手…
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