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2021年04月16日 05:17 朝日新聞デジタル
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写真 難民申請中のチュニジア人女性が出産後に受け取った病院の請求書の一部。診療報酬点数1点につき通常の倍の20円(税込み22円)で計算し、約37万円を請求された |
健康保険証のない外国人の方の医療費は、全額負担のさらに2倍になります――。大阪市で暮らすチュニジア人の女性(25)は昨年8月、病院の受付でそう告げられ、驚いた。だが、こうした医療機関は今、全国的に珍しくない。いったい、どういう事情なのか。(玉置太郎)
■難民申請中の妊婦に37万円請求
女性は2019年末に難民申請のためチュニジアから1人で来日し、その後に妊娠がわかった。日本語がほとんど話せないため、昨年8月、暮らしている大阪市内のシングルマザー支援団体を頼った。
区の保健福祉センターに紹介され、妊婦健診のため訪れた大阪市立総合医療センターの受付で、「医療費は2倍」と言われた。
支援者が用意した通訳機を使って健診を受け、9月に同病院で出産した。帝王切開による出産で子どもに医療措置が必要になり、費用は予想以上に膨らんだ。
例えば、子どもの入院費など約17万円は、親が公的医療保険に加入していれば、通常は2割負担の3万円ほどで済む。だが、女性は約37万円を請求された。診療報酬点数1点につき、通常は10円(税込み11円)で計算するところ、女性は20円(同22円)とされていたからだ。
外国籍であっても3カ月を超える在留資格があれば住民登録ができ、公的医療保険への加入義務が生じる。しかし、女性は当時、法務省から3カ月の在留資格しか認められておらず、保険に加入できなかった。貯金はなく、医療費は支援団体が立て替えた。
後日、子どもに保険証が与えられ、大阪市の子ども医療費助成で大半は返金された。だが、支援するシンママ大阪応援団の寺内順子代表理事は「受付で医療費2倍と言われれば、受診をあきらめる人が多いのではないか」と憤る。
■インバウンドの通訳対応で
市立総合医療センターは19年4月、保険証のない外国人の診療価格を、全額負担の2倍に引き上げていた。当時、中国、韓国などからの観光客の受診が急増していたことが背景にある。担当者は「通訳などで診療に倍の時間がかかり、コストを回収する必要があった」と話す。
保険証のない外国人約120人の平均診療時間を調べたところ、日本人が10分なのに対し、外国人は23分だったという。
■1割の医療機関が値上げ
厚生労働省の19年度の外国人患者受け入れ実態調査では、回答した約5400の医療機関の約1割(513機関)が、保険証のない外国人に通常より高い診療価格を設定していた。2倍以上にしたのは218機関だった。
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