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白化しらずのサンゴ誕生
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サンゴ養殖家の金城さんのご紹介。
https://www.okinawastory.jp/contents/coral/visit/
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サンゴの養殖家を訪ねて
金城さんの活動内容
読谷村にある陸上のサンゴ礁「さんご畑」の代表、金城浩二さん。
2005年、養殖したサンゴを海に移植して、世界ではじめて産卵を成功させたサンゴ養殖の第一人者です。産卵の朗報には世界中が驚き、2007年には内閣総理大臣賞と環境大臣奨励賞、人間力大賞を相次いで受賞しました。
「産卵はね、何かのためにとか、誰かのためにやったわけじゃないんです」。
ある日、いつもの通りに海に行くと、海が白くキラキラ光っていた。でも、これはいつも見ている海の色ではないと思い、悪い予感がしながら海に潜ると、サンゴが真っ白になっていた。
金城さんが見たのはエルニーニョ現象の仕業で、この1998年は、日本でも大雨が続いたり年間の平均気温が高くなっていたりと気象が荒れ、沖縄も海中の水温が高くなり、サンゴの白化が起きた年でした。
「サンゴの白化を目の当たりにしながらサンゴを助けないと、僕が僕自身に後悔すると思ったんです」と金城さん。
「白化を見ても、みんな、何かのせいにしたがる。地球温暖化とか海の汚染とか。でも、どうにか解決しようと本気で動く人はいない。だから僕が始めた」。
20年前にサンゴの養殖を開始したとき「サンゴを養殖するなんてバカじゃないか」、「陸に人工のサンゴ礁なんてつくれるわけがない」と批判する人が出てきたり、サンゴ養殖の為の借金が膨れ上がって明日から生きていけなくなりそうな、心折れそうな場面もたくさんあったのだそう。
でも「家がなくなっても父さんについていく」と、いつでも金城さんを真っ直ぐに信じて応援してくれる家族や、まわりの知人友人、地元のダイバー、漁師らの温かい協力で、無事に自分たちの手で養殖したサンゴが海で産卵することに成功。
その後、みかん畑で働くおじちゃんやお姉さんに質問を聞くような感覚で、気軽に自然に触れ合いに来て欲しいと、「さんご畑」を開きました。今では年間1万人が訪れる人気スポットとなっています。
「広告は打ち出してないのに、みんな口コミだけで来てくれるんだよね。本土からのお客様も外国からのお客様も修学旅行生もいる。小学生以下のこどもは『帰らない』と泣く子が多いですよ」と、金城さんは優しい笑顔を見せます。
こどもから大人までみんな自然の楽しさを肌で感じてほしい。
きれいな海を見た人は、きれいな海がわかるから。
これまでもこれからも、金城さんの目標は「サンゴ研究をやめないこと」。
さんご畑には、将来の沖縄の美しいサンゴを願ってやまない金城さんの想いが、溢れています。
<参考文献>
- ・「てぃだかんかんー海とサンゴと小さな奇跡―」/2010年2月1日初版/著:金城浩二/発行者:飯沼年昭/発行所:株式会社小学館
白化しないサンゴについて
2016年、世界的に海水温の上昇がおき、沖縄でも30度を超える水温が続いたため、サンゴは大打撃を受けました。
サンゴは、生存に欠かせない植物プランクトン「褐虫藻」が光合成でつくった栄養をもらって生きているのですが、30℃以上の高い水温がつづくと、褐虫藻はサンゴの体内から逃げ出し、サンゴが真っ白になる「白化現象」が起こります。
「世界中の海にいるサンゴのうち、半数以上が沖縄に住んでいますが、白化現象はこれからも続く」と金城さんは話します。
現在、日本のサンゴ礁の約90%が沖縄海域に分布していますが、その中でも沖縄本島周辺のサンゴは現在壊滅状態という危機的状況におかれています。
1997年に世界自然保護基金(WWF)が各国のサンゴの被害状況を地図にまとめた結果、南西諸島は2番目に危険度が高い「絶滅危惧」にランクされました。。
陸でも海でも、栄養をつくるもとは植物。サンゴ礁では、イノーの藻場やサンゴの中の褐虫藻がつくりだした栄養を、食物連鎖が支えています。その食物連鎖が失われると、自然からの恵みがどんどん失われ、いつかは人間の食べるものもなくなり、人類の危機に瀕します。
「海のなかで20年の年月で起きてきたことが、いま1年で起きている。海のサイクルが止まり、怖い状況になっている」と金城さんは話します。人類はどうやってこの状況を止めることができるのでしょうか。
そんななか「さんご畑」では、8年前に嬉しい出来事が起こりました。
サンゴの産卵観察会で、こども達により近くでサンゴを見てもらおうと、深い場所にあったサンゴを浅い場所に移動させたところ、太陽光でたくさんのサンゴが死んでしまったなか一部生き残った個体があり、それをさらに浅いところに移動することで、偶然にも水面近くで太陽光などのストレス下でも生きていける「白化しないサンゴ」を発見したのです。
4年もの歳月がかかりましたが、金城さんは世界でも類を見ない快挙を成し遂げました。
「いま世界中のサンゴが滅びてきているけど、せめて沖縄だけでもサンゴが見られるようにしたい。沖縄のサンゴは世界の誇りですから。『昔より今の海の方がキレイだよ』」といわれる海にしたいですね」と金城さんはお話ししてくれました。
<参考文献>
- ・「いのちの海 サンゴ礁ってなぁに?」/発行:一般財団法人 沖縄美ら島財団/総監修:内田詮三
- ・「沖縄のサンゴ礁―沖縄県の重要なサンゴ礁海域―/2006年3月発行/発行:沖縄県文化環境部自然保護課/編集:財団法人沖縄県環境科学センター/
<提供写真>
- ・さんご畑
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