2021年10月25日 08:00
凪良ゆう氏のベストセラー小説を広瀬すずと松坂桃李主演で実写映画化する「流浪の月」に、多部未華子が出演することがわかった。
原作は2020年の本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた傑作小説。9歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗と、その事件の“加害者”とされた当時19歳の大学生・佐伯文の15年後の再会を描く。更紗役を広瀬、文役を松坂が演じるほか、更紗の現在の恋人・亮役で横浜流星が出演する。
監督・脚本を手掛けたのは、「悪人」「怒り」の李相日監督。恋愛、友情、家族愛のような既存の言葉では括れない、限りなく稀有な2人の関係性をスクリーンに描き出す。撮影監督を「パラサイト 半地下の家族」「母なる証明」のホン・ギョンピョ、美術監督を種田陽平が務める。
雨の夕方の公園で、びしょ濡れの9歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは、19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗は2カ月を過ごす。しかし、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後、「傷物にされた被害女児」とその「加害者」という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。
多部が演じるのは、心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみ。李監督と初めてタッグを組んだ多部は、「事前に色々な噂話を聞いていたので(笑)」と前置きしたうえで、「監督の前でお芝居をすると見透かされるというか、嘘がつけないと思うところがたくさんあります」と胸の内を明かす。そして「少ない時間の中で自分の役者としての何か(それを言葉にするのは難しいですがその何か)を得られたら嬉しいと思いました」と語るとともに、「数少ないシーンで谷の繊細な心情や苦悩を伝えるのが難しいですが、私も頑張ります」と意気込みを語っている。
李監督も、「親しみやすい容貌で、“欲深さ”とは縁遠い印象の多部さんですが、だからこそ、愛する人の心に触れられない焦燥感をどう炙り出してくれるのか興味が尽きません」と期待のコメントを寄せた。
「流浪の月」は、2022年に全国公開。多部と李監督のコメント全文は以下の通り。
【多部未華子】
とても過酷な環境におかれている主人公のお話なのに、どこか温かく純粋で無垢な雰囲気がするとても魅力的な脚本だと思いました。
李監督とご一緒するのは初めてで、事前に色々な噂話を聞いていたので(笑)目を合わせるのも怖い…という印象でしたが、少ない時間の中で自分の役者としての何か(それを言葉にするのは難しいですがその何か)を得られたら嬉しいと思いました。
監督は、よく下を向いて考え事なのか悩んでいるのか、そういう立ち姿をよく見ることがあり、その長い時間の後になにを言われるのかいつもドキドキして、監督の前でお芝居をすると見透かされるというか、嘘がつけないと思うところがたくさんあります。
広瀬さん、松坂さんお二方とも、全身全霊で演じていらっしゃるのを現場にいる佇まいから強烈に感じ取ることができ、本当に心から尊敬します。
数少ないシーンで谷の繊細な心情や苦悩を伝えるのが難しいですが、私も頑張ります。
【李相日監督】
初めてお会いした時の、多部さんの聞こうとする力。全神経を張りつめて僕の言葉に耳を傾ける迫力にたじろぐ思いでした。
親しみやすい容貌で、“欲深さ”とは縁遠い印象の多部さんですが、だからこそ、愛する人の心に触れられない焦燥感をどう炙り出してくれるのか興味が尽きません。
撮影中も、唇を結んで、演じる不安とひたむきに格闘する姿を見るにつけ、彼女の誠実さを感じずにはいられませんでした。
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