https://robotstart.info/2022/05/05/ai-driving-school-t4.html
昨今、地域の交通教育を支える自動車教習所は、指導員の高齢化や採用難による人材不足に直面しており、在籍指導員の負担増加や運転免許取得希望者及び免許更新を控えた高齢運転者の受入難という社会課題が顕在化している。
この課題解決を目的とし、ミナミホールディングス株式会社と株式会社ティアフォーの2社の合弁で設立したAI教習所株式会社は、AIと自動運転技術を活用した運転技能及び教習システム(「AI教習システム」)を使ったAIペーパードライバー講習が、株式会社南福岡自動車学校にて2022年6月から正式サービスを開始するに際し、AI教習システムの有償サービスを開始することを発表した。
ティアフォーの創業者でもある加藤真平氏が東京大学の准教授として研究代表者を務めるJST CREST(国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業チーム型研究)の研究課題「完全自動運転における危険と異常の予測」の研究成果、ならびに、ミナミホールディングス株式会社が有する教習所における知見を活用し、AI教習システムの開発を進めており、2020年9月に事業化を発表後、2021年5月に両社の合弁で設立したAI教習所にて、免許既得者および新規免許取得者向けにAI教習システムの開発と検証を重ねてきた。
多くの教習車両が走行する教習所コース内において、400時間以上のモニターによる検証を行い、指導員が同乗することなく、機能面・安全面においてAI教習システムを利用できる目処が立ったことから、全国で初めて南福岡自動車学校に対して有償サービスを開始する事になった。同社ではAIペーパードライバー講習としての利用を予定している。
なお、同モニター検証は、指導員が相応の力量があると判断した人のみが行った。
AI教習システム概要
AI教習システムは、AIと自動運転技術を用いて、教習所コース内における車両位置、車両状態、周辺環境及びドライバーの確認行動をリアルタイムに把握することで、ドライバーの危険運転行動の検知、及び事前に収集した教師経路と実際にドライバーが運転した走行経路の差分などに基づく運転技能評価につき、指導員の同乗を必要とせず、指導員と同程度の精度でドライバーを評価することが可能だ。また、運転席のタブレットで受講者自身が講習メニューを選択し、走行後は自身の運転を映像で振り返ることにより、運転技能の向上を図る。また、指導員の同乗なしでも安全に受講ができるよう、一定の条件で作動する自動補助ブレーキが実装されている。
■【動画】AI教習システムの紹介 210330 mp4
【試乗会の開催】
南福岡自動車学校でのAIペーパードライバー講習の正式サービスリリースに際して、2022年6月6日に同校において、AIペーパードライバー講習の試乗体験会を実施する。当日は、ペーパードライバー講習のコンテンツを実際に運転して体験することが可能だ。
今後の展望
南福岡自動車学校以外にも、全国8都道府県の教習所からAI教習システムの導入希望がきており、安全確認を十分に行った上で、順次導入を進めていく予定となっている。また、2022年5月13日に改正道路交通法の施行により、一定の事故違反歴のある高齢運転者の免許更新時の運転技能検査が義務化される。運転技能検査の導入により、検査受検前の利用希望も増加すると予想しており、南福岡自動車学校では、高齢者向けにもAI教習システムを利用予定だ。道路交通法および関連法規により、現時点で指定自動車学校における免許取得教習にAI教習システムを利用することはできないが、同社は今後、年間に100万人以上が取得する普通免許取得時教習においてもAI教習システムを利用できるよう開発検証を進めていくと述べている。
AI教習所 代表取締役 江上喜朗氏
これから免許を取得しようとする教習生が運転する車両のみが走行する教習場内において、指導員が同乗しないAI教習車両を安全に利用できるようにするために、AI教習車両の性能だけではなく、運用方法も含めて繰り返し検証を行って参りました。卒業生数で全国11位(2020年)、多い時には20台以上の車両が場内を走行する南福岡自動車学校において安全面を確保して運用する見通しが立ち、有償サービスとしてAI教習システムを利用いただけるようになったことは大きな一歩となりました。教習所業界が抱える指導員不足という大きな課題を解決し、世界一安全な交通社会に貢献していくという会社のVision実現に向けて、今後もAI教習システムの機能および性能の向上を図りながら、現時点で利用可能なペーパードライバー講習や企業研修などの既得免許取得者教育での実績を積み上げていきます。
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