まったく意に介さず、こちらの雛形を投げ返すところからゲームスタートです。相手が弊社の規定だからと言っても無視します。GT&C(general terms and conditions)だと言われても、「私は契約の話をしている。GT&Cと契約条項が変更できないことに、どういう因果関係があるのかまったく理解できない。論理的に説明願いたい。過去一例も変えたことがないのか。本当か?信じられん。貴殿は本当に責任者であるのか?」くらい言いましょう。
これくらいが将棋で言うところの最初の二手くらいです。そうすると相手が折れるのか、折れないのかがはっきりします。相手が折れるのであればこちらの契約雛形を渡します。相手がどうしても折れないのであれば、「まったくしょうがないがやむなしである。Okay、あなたの立場は理解した。しかし、この点は変えてくれよ」と言い返しましょう。それで気に入らない条項のrewording(修正)に入ります。
だいたい揉める点は決まっていて以下くらいです。このあたりを重点的に見れば大ゴケはしないでしょう。
- 成果物(Deliverable)
- 受渡条件(Delivery term)
- 納期管理(Delivery control)
- 検査(Inspection)
- 検収(Acceptance)
- 支払(Payment term)
- 保証(Warranty)
ただ、甘く見ると(問題が起きれば話しあえば良いだろうくらいに思っていると)契約であるので、知らないと言われてドロンと逃げられます。日本人が暗黙に持っている責任とは無形的です。欧米の契約書は書いていないことはまったく責任の範囲外です。
思想が異なる点は強く理解されないと本当に履行されず負債のみ残ることがあるので、できれば信用のおけるagent(代理人)なりdistributor(卸業者)を仲介させる方が、手数料を払っても楽だと思います。
尚、agentとは製造元と同一の権限を持つ相手の代理人(例えば、未成年の子どもに対する親みたいなもの)を示しており、distributorとは製造元と同一の責任を有さない単なる販売者(例えば家電メーカーに対するヨドバシカメラみたいなもの)を示します。
日本で商社の方が「弊社は代理店です」という場合、大抵はdistributorであるので、サービスレベルは落ちます。サービスと支払い手数料を高い順番に並べるとagentによる仲介>distributorによる仲介>当事者間売買です。
私は前者(agent)はもともと法務用語であり、後者(distributor)は販売用語であったと思っています。しかし日本語にする際に意味の差分が抜け落ちてしまい「取次店」みたいなところで訳語が落ちついてしまいました。「代理店」などと訳すと、さらにわけがわかりません。このことにより購入者が期待するサービスのレベルと、仲介する商社の提供できるサービスの限界値に差分が生まれます。この差分がトラブルの種になることもあります。
この区別はけっこう重要なので、商社の方にやんわり聞いてみて下さい。ほとんどの商社の方が理解していないのですが、しっかり説明すれば理解はされます。そして、その区分で言えば弊社はdistributorでしょうと言われると思います。
もし時間があるならこの本を読むことをオススメします。
The Prince by Niccolo Machavelli
しかし、ニッコロ・マキアヴェッリの『プリンス』ほど、少ない言葉で大きなインパクトを与えたものはないだろう。支配者の性質について書かれたこの引用に値する論文は、単に16世紀のヨーロッパという、絶対的に支配する王と貴族で構成された世界の特定の政治地理を論じているのではなく、権力者を理解し、ローマ皇帝から現代の大統領に至るまで、指導者を特徴づける共通の特徴、動機、闘争を包括的に理解しているから、約500年間も存続しているのである
マキャベリズムという言葉はよく聞きます。望む結果を得るためには手段を問わないという主義です。
西洋人を理解するための一冊の参考書です。まあ、これは西洋の上級国民のバイブルですが、普通の人でも傾向は似ているはずです。今までの歴史を見れば、かれらの基本はマキャベリズムだということは明白です。
俺は弁護士を立てる方策が有効だと思います。日本人ではない弁護士です。
十分私もこの状況は理解できます。
しかし、私にはこの「根気よく交渉する」と言う部分全く理解できないのです。
交渉はビジネス戦争なのです。何でもありの戦争なのです。戦争であれば、先方の優位な事ばかりを記載するのは常識とも言えるのです。
私はこのサイトで英語力に関して「交渉力」と言う単語を少なくとも100回はいや300回は言って来たでしょう。
もう少しわかりやすく言うとボクシングのジャブみたいなものから始まるのです。
先方の要求を変える事は「根気」で出来るものではないのです。より多くの要求を通らせることが交渉力なのです。そしてそれを法的に守れるものが契約と言うものなのです。
また、交渉とはこちら側が「折れる」事で同意するというものでもないのです。
もしかしたら、「当たって砕けろ!」式のとにかく何でも、欲しくないものまで、要求して、先方が「折れる」と言う方法をとっているのはないかと、また、足元を見ている(こちら側の弱点をよく調査しているか日本人の交渉力の弱さを甘く見ている」かもしれませんね。
ここで言う交渉力は単なる英語の表現力の良さではないのですね。上に書いたように、戦争だと考えてください。
もしアメリカ人との交渉が「根気よく」と言う思いであれば、正直に書きますね、交渉のプロ、それも英語力を持って、十分な契約書交渉の経験を持ち、相手側の弱点を調査でき適切な判断と誘導と反撃が随時繰り返してできる弁護士を雇ってください。
この売買契約金額がどの位でどのくらいの価値があるものなのか(利益と将来性など)、買う側のか売る側なのかも分かりませんが、この特殊な弁護士の費用は結構しますのでそれはそれでビジネス判断の一つとなるのは常識と考えてみてください。
因みに宮本武蔵と言う剣豪が書いたとする「五輪書The Book of Five Rings」がアメリカでビジネス書部類でナンバーワン・ベストセラーになったのですね。マネジャー・社長・起業家クラスがその読者だったのです。
何故だと思います?初めは必須という事で読まされたのですが、この書物から学べることは決して剣術の事ではないのですね。
日本でもビジネスマンの必読書の一冊とされているのを私は知っています。楽天でも、ブックオフでも通販で買えます。
私自身現代日本語訳1冊、英語版5冊(それぞれが単なる訳本ではなく、ビジネス感覚との繋がりからのガイドブックと言う形でも)持っています。
長い目で今回の交渉力を見つめる機会があるとすればひとも読んでみ来てください、そして、ご自分でビジネス戦力のどの部分が交渉力とのつながりがあるか考えてみてください。教科書ではなく、考えを磨くための本として宮本武蔵が書いたものですからね。
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