https://gigazine.net/news/20240118-superconductor-copper-substituted-lead-apatite/
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by Mai-Linh Doan
2023年7月に韓国の研究チームが、「LK-99」という物質で室温常圧超伝導を確認したと主張する論文を発表し、世界中の科学者が検証を行いました。結果として「LK-99は室温常圧超伝導体ではなかった」と結論づけられましたが、このLK-99に似たサンプルで、室温常圧超伝導を思わせる現象が確認された可能性があるという論文が2024年1月に発表されました。ただし、研究チームは慎重な姿勢をみせており、あくまでも可能性を示唆するにとどめています。
2023年7月、韓国の研究チームは合成したサンプル「LK-99」で室温常圧超伝導を確認したと報告しました。
このLK-99に対しては世界中の科学者が追試と検証を行いました。しかし、多くの研究組織がLK-99の再現ができず、理論的にもありえないと表明。論文を掲載した学術誌のNatureは論文を撤回し、さらに韓国の超伝導低温物理学会もLK-99について「根拠がない」という見解を しました。
今回発表された論文は、LK-99のような「銅添加鉛アパタイト」という物質で室温常圧超伝導の実現を目指すものでした。華南理工大学の物理学者である 教授が率いるチームは、LK-99のオリジナル論文に記載されていた通り、 を用いて試料を合成し、 を用いて磁気の挙動を測定しています。また、中国科学院プロセス工学研究所の 教授が率いるチームは、 を用いて試料を合成し、 (SQUID)で磁場を測定しました。
論文によると、王教授らのサンプル合成手順は「リン酸塩と硫化鉛を水溶液中に共沈させ、pH8を維持しながら180℃・高圧下で加熱し、アルゴン下で900℃で8時間焼成、さらに純酸素下で48時間かけて500℃で48時間焼成し、その後室温まで冷却した」と報告されています。ワン氏らのサンプルには、LK-99と違って硫黄が含まれているのが特徴です。
その結果、100K(マイナス約173℃)、200K(マイナス約73℃)、250K(マイナス約23℃)で らしき現象を確認できたと研究チームは報告しています。
マイスナー効果とは超伝導体が持つ性質の1つで、磁場のなかに超伝導体をおいた時に、超伝導体の中から磁場が押し出されてしまう現象。ヤオ氏のチームとワン氏のチームはそれぞれ別の方法でサンプルを合成しましたが、どちらでも同様の研究結果が示されたとのことで、連名で論文を発表しています。
ただし、両研究チームはあくまでも「マイスナー効果の可能性が示唆された」という主張にとどめており、室温常圧超伝導自体には慎重な姿勢をみせています。仮に外部磁場への反発のような磁気特性がみられたとしても、それがマイスナー効果によるものであるかどうかは断言できないためです。
室温常圧超伝導は定期的に報告されているものの、いずれも再現性が低く、世界中の研究者から追試が行われた上で室温常圧超伝導が認められた例はありません。もし室温常圧超伝導が実現すれば、人類の文明は大きなブレイクスルーを遂げることは間違いありませんが、それ故に慎重な検証が求められます。科学系メディアのInteresting Engineeringは、「科学の信頼性を維持するための強力な証拠を持たずして大きな主張をしないように注意する必要があります」と述べました。
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