https://jitera.com/ja/insights/16802
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機械学習プロジェクトを推進する上で、開発工程と運用工程を分割化し、チーム間のコミュケーションを円滑にする「MLOps」があります。
本記事ではMLOpsとは何か、機械学習を運用する上でなぜ必要なのかについて紹介します。
また類似している「AIOps」や「DevOps」との違い、活用事例なども交えて説明します。
事前シミュレーションも可能です!
目次MLOpsとは何か?
「MLOps」とは機械学習(Machine Learning)と運用(Operations)を組み合わせた造語になります。
優れた機械学習システムを実現するための手法や概念を指し、継続的に開発・実装・品質保証を行います。
機械学習を取り入れたシステムの開発・運用を自動で円滑に行い、安定したサービスをユーザに届けることができます。
また開発チームと運用チームが連携し、円滑な開発を進める DevOps の考え方を拡張し、機械学習の分野に特化しています。
機械学習は必要なデータ取得、集約などを行い、取得したデータをもとに検証を実施する必要があり、導入は容易ではありません。
さらにデータエンジニア、データサイエンティスト、機械学習エンジニアで構成されたチーム間の連携が必要です。
そのためMLOps は各チームのアプリケーションコードやデータ変更などを管理するために不可欠です。
MLOps導入のメリットとビジネスへの影響
MLOpsを導入のメリットは迅速な開発作業、生産性の向上が挙げられます。
また開発工程の自動化により手作業を省き、ミスを減らすことで、開発作業を効率化します。
さらに開発工程を標準化することで、運用コストを削減でき、価値の最大化することができます。
迅速なデプロイ
MLOpsはモデルやCI/CDパイプラインのエクスポート、デプロイ、異なる環境へのビジネスシステムやアプリケーションとの統合を行います。
そのため自動化されたプロセスで、効率的により多くのモデルを迅速にデプロイ可能です。
また標準化されたモデルを活用して開発者は新しいプロジェクトを立ち上げ、プロジェクト間のローテーションを行い、
アプリケーション間で MLOpsモデルを再利用でき、反復可能なプロセスを作成し、迅速な実験やモデルトレーニングを行うことができます。
モデルの品質向上
MLOpsはモデルを継続的に監視し、データの傾向変更に伴うフィードバックをもとにモデルが更新するたびに、
リアルタイムで柔軟に対応し、データ更新が可能です。
そのため自動テストやモデルの監視によってモデルの品質や性能を維持できます。
そして継続的な改善が可能で、新しいデータやフィードバックに迅速に適応でき、品質の向上につながります。
またモデルのトレーニングやデプロイ、モニタリングなどの一連のプロセスを自動化することで、
人的リソースの節約やヒューマンエラーのリスクを低減することができます。
さらにMLOpsはセキュリティとコンプライアンスの遵守も確保され、データセキュリティや法的規制への対応を強化できます。
ビジネス価値の最大化
MLOpsはモデルの作成とデプロイを自動化することで、開発者とデータサイエンティストの負担を軽減し、
製品化までの時間を短縮し、運用コストを削減、生産性を向上させます。
またMLOpsはモデルを標準化し、標準化されたモデルは異なる環境間において使用可能です。
そのため多数のモデルを扱う大規模な環境へ移行する場合も迅速かつ効率的に製品化することができます。
AIOpsやDevOpsとの違い
IT運用方法にはMLOpsのほかにもAIOpsやDevOpsといった手法が存在します。
以下はMLOpsを軸にAIOpsとDevOpsの違いを表にまとめております。
名称 | MLOpsとの違い |
AIOps | AIOpsがIT運用の問題解決にAIを活用するのに対し、 MLOpsはAI・機械学習モデルの開発・運用そのものを最適化することを目的としています。 |
DevOps | DevOpsは開発と運用の壁を取り払い、両者を統合・連携することで、迅速なリリースと高いサービス品質を実現します。 一方、MLOpsは機械学習のモデルを活用し、開発・運用段階を効率的に管理・運用することを目的としています。 |
MLOpsとのそれぞれの違いや特徴や用途を紹介します。
AIOpsとは何か?その特徴と活用方法
AIOpsは人の手で対処していたシステム運用などの作業をデータや分析を通して、
自動化および最適化をAI技術を用いて実現する手法になります。
そのためビッグデータや機械学習を利用し、システム運用の問題を自動で早期発見、トラブルの原因を素早く究明し対処します。
またモニタリングやタスクの自動化に役立ち、システムのダウンタイムを減少させ、運用の効率を向上させることできます。
さらに運用時の人手を減らすことで、運用コスト削減やヒューマンエラーの防止だけでなく、DX推進にもつながります。
DevOpsとの違いと相互関係
DevOpsはソフトウェアの開発(Dev)と運用(Ops)のプロセスを連携・統合するため手法になります。
用途は開発フェーズと運用フェーズを統合することで、ソフトウェアのリリースサイクルを短縮し、
迅速なフィードバックと改善を実現します。
MLOpsとDevOpsの主な違いは、対象となるプロセスが異なる点です。
DevOps はソフトウェアの開発と運用に焦点を当てているのに対し、MLOps は、機械学習モデルに特化しているのが違いです。
またMLOps はDevOps の原則をベースに機械学習モデルを導入しています。
MLOpsを活用する際の重要ポイント
MLOpsを活用する上での重要ポイントは以下が挙げられます。
- モニタリングによるデータの可視化
- モデルのライフサイクル管理
- パイプラインの自動化
- データとモデルのバージョニング
それぞれの項目について詳細に紹介します。
データの可視化と共有
MLOpsはモデルの予想を行うため、データを可視化する必要があり、異常な値があった場合はアラートを発報し、問題を早期に発見できます。
さらにデータを可視化することで、モデルのパフォーマンスや品質を評価し、改善するための情報を得ることができます。
そのためデータの可視化はモデルの信頼性を確保するために欠かせない項目となります。
またMLOpsにおいてモデルのライフサイクル管理はモデルを開発・運用する上で欠かせないプロセスです。
モデルの開発・デプロイ・バージョン管理など作業工程を共有することで、適切な品質管理が可能になります。
そしてライフサイクル管理共有を行うことで、バグの早期発見や即時にトラブルシューティングが可能となり、コストや時間の削減になります。
パイプラインの自動化
MLOpsではモデルの開発からデプロイまでのプロセスを自動化することにより、開発者は手作業でのタスクを最小限に抑え、
迅速かつ効率的にモデルをデプロイすることができます。
またパイプラインの自動化により人的ミスが減少し、モデルの品質を向上および素早いリリースすることができます。
運用の継続性
MLOpsにおいてデータとモデルのバージョニングは非常に重要です。
データやモデルのバージョニングを行うことで異なるバージョンで使用されたデータを追跡し、モデルの再現性を確保することができます。
またモデルの開発に使用されたデータの品質を評価し、適切な対応を行うことができます。
そのためより高品質なモデルを開発し、運用することができます。
MLOps導入におすすめのツール比較
MLOpsに役立つツールが数が多いので、それぞれの特徴を紹介します。
ツール名 | 特徴 |
Databricks | ビッグデータから生成 AIまでのソリューションを使用して、 大規模なソフトウェアを開発に特化したプラットフォーム |
MLflow | 機械学習フレームワークやクラウドサービスとの互換性があり、 MLOpsに必要な機能を幅広くカバーしている |
Amazon SageMaker | リアルタイムの予測エンドポイントの提供や、モデルのテスト、 自動スケーリングなどの高度な運用機能もサポート |
Azure Machine Learning | データの前処理、特徴量エンジニアリング、 モデルの開発と最適化、そしてデプロイと監視を一元的に行う |
Databricks
Databricksは大規模なソフトウェアを開発する際に必要とされるエンタープライズ・グレードのデータ分析と、
AIソリューションを構築、デプロイ、共有、保守するための、統合されたオープンなアナリティクスプラットフォームです。
用途はビッグデータから生成 AIまでのソリューションを使用して、データセットの処理、保存、共有、分析、モデル化、
収益化のために、データソースを 1 つのプラットフォームに接続するのに役立つツールを提供します。
Databricksワークスペースには、以下のデータタスク用の統一されたインターフェイスとツールが用意されています。
- データ処理のスケジューリングと管理、特にETL
- ダッシュボードとビジュアライゼーションの生成
- セキュリティー、ガバナンス、高可用性、およびディザスタリカバリーの管理
- データの検出、アノテーション、探索
- 機械学習 (ML) のモデリング、追跡、モデルサービング
- 生成AI ソリューション
MLflow
MLflowは機械学習のライフサイクルを管理するためのプラットフォームです。
モデルの開発、パラメータのトラッキング、デプロイ、モデルのバージョン管理など、MLOpsに必要な機能を幅広くカバーしています。
また多くの機械学習フレームワークやクラウドサービスとの互換性も持っています。
またMLflowは以下4つの項目で構成されています。
MLflow Tracking
実験(コード、データ、設定、結果)の記録と検索を行う
MLflow Projects
任意のプラットフォームでコードの実行を再現できる形式でパッケージ化する
MLflow Models
多様なサービス環境に機械学習モデルをデプロイする
MLflow Registry
セントラルリポジトリでモデルを保存、アノテーション付け、検出、および管理を行う
Amazon SageMaker
Amazon SageMakerはAWSが提供するMLOps専用のサービスで、機械学習モデルのライフサイクル全体をカバーします。
SageMakerのスタジオ機能を使用すると、Jupyterノートブックを中心に、データの探索、モデルのトレーニング、チューニング、
デプロイを一元的に管理できます。
またリアルタイムの予測エンドポイントの提供や、モデルのテスト、自動スケーリングなどの高度な運用機能もサポートしています。
https://aws.amazon.com/jp/sagemaker/
Azure Machine Learning
Azure Machine Learningはクラウド上での機械学習のライフサイクルを全面的にサポートするプラットフォームです。
データサイエンティストやアプリケーション開発者はAzure Machine Learningを活用することで、データの前処理、特徴量エンジニアリング、
モデルの開発と最適化、そしてデプロイと監視を一元的に行うことができます。
またAzure Machine Learningのデザイナー機能を使用してWebコンソールのインターフェース上で、
機械学習のワークフローをビジュアルに構築できます。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/machine-learning
MLOps導入の際に気を付けること
MLOps導入はメリットだけでなくデメリットも存在します。
また考慮すべき課題は多岐にわたるため、一度にすべてを解決することは困難です。
そのため段階的に自動化・ツールの導入を進めていくことが重要となり、まずは組織の現状の立ち位置を把握することが必要です。
MLOps導入に関する注意点を紹介します。
組織体制の整備
MLOpsは機械学習モデルの開発・運用のサイクルを円滑に回すことを目的としています。
開発側と運用側が縦割りになっていて連携が取りづらい場合、円滑なサイクルの妨げになります。
そのため開発側と運用側が密に連携を取れるような組織体制が必要です。
運用体制の構築
機械学習モデルの開発・運用には、データ分析、モデル開発、モデルのデプロイ、管理や監視など、
複雑な作業が多いため、時間と人的コストがかかります。
ツールを開発する際の高額な費用や多くの技術者、AIの運用知識をもつエンジニアが必要です。
運用するための環境を整えるだけでもかなりの時間とコストを要することになります。
まとめ:MLOpsで機械学習をビジネスに活用しましょう
本記事ではAIOpsやDevOpsの違いや導入ツールを通してMLOpsを紹介しました。
MLOpsは機械学習を活用してシステム開発運用ワークフローを効率的に行います。
また機械学習をシステム開発に活用することで以下のメリットが挙げられます。
- 運用コストの削減
- 人的エラー(ヒューマンエラー)の削減
- 作業フローを自動化し、開発者とデータサイエンティストの負担を軽減し、製品化までの時間を短縮
最後にMLOpsや機械学習に関して検討する際は株式会社Jiteraへの問い合わせをお願いいたします。
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