https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02127/00120/
100年に一度の大変革期といわれる自動車業界。電動化や知能化の進展によって、クルマの構造や価値は大きく変わろうとしている。日本を代表する大手自動車部品メーカーであるアイシンにとっても、それはほとんど経験したことのないような大変化だろう。アイシンは、そうした大変化にどのように立ち向かおうとしているのか――。同社の技術トップである取締役・執行役員兼Chief Technology Strategy Officer兼製品開発センター長の山本義久氏に聞いた。最終回となる今回は、自動車部品における販売形態の変化や、それに伴う開発の進め方に関する考え方、駆動系の技術進化の方向性などについて紹介する。
(聞き手は富岡 恒憲=日経クロステック/日経Automotive)
自動車業界における最近の動きの1つとして「ハードだけをください」という要求が結構増えていると耳にする。そうしたケースにはどう対応していく考えなのか。
システムとして捉えることを我々は基本とするが、その中の1つのアプリケーション(機能)を単独でも提供できる形にするという準備を進めている。
自動車メーカーが全体システムをまとめ上げるケースでは、アプリケーションだけを提供する場合もあれば、ハードだけを提供する場合もあるだろう。
アクチュエーターは元々得意なので、アクチュエーターを部品として提供することも可能だ。切り売りというか、それぞれを提供できる形を取ろうとしている。
ハードとソフトを切り離した開発の仕方に変えていくのか。
我々には、ハードとソフトを一緒に開発できる体制がある。ハードだけを提供する場合、自動車メーカーのほうでシステム開発を実施することになる。
ただ、システム開発は大変というのも事実だ。我々がハードもソフトもよく知っているとなると、システムを一緒に開発するパートナーに指定してもらえるチャンスが出てくる。
従って、我々はソフトのエンジニアはソフトだけを知っているというようには育てないようにしている。ハードのメンバーもソフトのことを知っている必要がある。システム開発ができるということはそういうことである。我々は製品を提供するだけではなく、自動車メーカーと一緒にクルマを開発できる――そこを強みにしたい。
これからは、ソフトだけを切り出してコーディング(プログラミング)だけするという仕事もある。だが、そうではなくて、ハードとセットでシステム開発を行ったほうが速い。そのためのツールもあるし、既に始まっている。モデル化することで、それが可能になっていく。
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