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沖縄科学技術大学院大学の嘉部量太准教授と九州大学の安達千波矢主幹教授らは、レアアース(希土類)がいらない有機材料の蓄光材料を開発した。発光前の電荷分離状態を安定化させ、酸素下でも光るようになった。有機合成で作製できる安価な発光材料の開発につながる。
蓄光材料では光が吸収されると電子アクセプター材料の電子が高エネルギーの軌道に移動して空席ができる。電子ドナー材料から電子が供給されて空席を埋め、電荷が分離した状態で材料中を拡散する。従来は電荷分離状態が不安定で酸素などと反応して光が消えてしまう課題があった。
そこでホール(正孔)を捕まえて安定化させるホールトラップ材料を加えて電荷分離状態の安定性を向上させた。電子を供給した電子ドナー材料にホールトラップ材料から電子が供給されて安定化する。発光する電子アクセプター材料とホールトラップ材料はそれぞれ1%ほどしか入っていないため直接電子を授受しない。発光波長を変えずに安定化させ、空気中でも発光できるようになった。
酸素から蓄光材料を守れないような塗料や塗布工程などの用途に向く。電荷分離安定化技術は有機ELや有機太陽電池などにも応用できる。
日刊工業新聞2021年11月30日
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