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車載機器や情報通信機器などを開発・製造する旭電器工業(津市)は、射出成形のみで高い意匠性を実現できる技術「原着加飾成形」を用いた成形品を「付加価値ある意匠デザインを実現するものづくり技術2024」(2024年6月7日、主催:日経ものづくり)に出展した(図1)。塗装やフィルムを用いた2次加工なしで、メタリックやピアノブラック、木目といった質感を実現するため、コストと揮発性有機化合物(VOC)の削減を図れる。
例えば木目調の成形品は、同じ種類の2色の樹脂を別々の射出成形装置で制御しながら成形して模様をつくり出す。一般的な木目調が、溶け合わない樹脂を使うのに対して、原着加飾成形は「同じ種類の色違いの樹脂」(同社取締役開発営業部長の山本武氏)を使う。従来の木目調は常に違う模様が現れるが、原着加飾成形は「成形条件で模様を表現するため、再現性がある」(同氏)。金型意匠面にシボ加工を施せば、質感も木に近付けられるとしている。
微細加工を施した下位層とクリア層の2層から成る成形品は、下位層に凹凸を形成することで「色味と深みを併せ持つ意匠」(同社)を実現した(図2)。一般的な2層成形品は厚さが5~6mmだが、同社はゲートの設定と成形条件の工夫によって3mmまで薄肉化したという。
原着加飾成形技術は、リサイクル材の活用にも有効だ。リサイクル材はバージン材に比べて意匠性を持たせにくいケースがあるが、リサイクル材をバージン材で覆えば表面の意匠性を確保できる(図3)。リサイクル材にはにおいの強いものもあり、それを隠すのにも使えるという。
その他には、樹脂の流動を制御することでウエルドの発生を抑える技術や、2色成形またはインサート成形によってメタリックとピアノブラックを1つの部品内に表現する技術も紹介した。同社は、こうした複数の原着加飾成形技術を生かして、塗装レスを提案していく。
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