https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09530/
ベルギーの半導体研究機関であるimecは、靴箱の大きさにまで小型化したAI(人工知能)データセンターを提唱した。超電導技術を使い、電力効率を従来と比べて100倍に高める。今後は3世代に分けて進化させ、深層学習や量子コンピューターの分野での応用を狙う。
生成AIが爆発的に普及する中、課題となっているのがデータセンターで消費される膨大な電力だ。環境負荷や計算コストを考えると、今の技術の延長線上では必要な電力は、世界で供給できる電力をすぐに超えてしまう。
そこで、高性能でありながら、小型かつ消費電力が小さいプロセッサーが必要になる。従来のプロセッサーは、他のプロセッサーやメモリーとの間のデータ移動に大きな電力を必要としていた。その分、発熱も大きい。
超電導技術の特徴は、極低温の状態で電気抵抗がほぼゼロになること。電気の通り道であるインターコネクトを超電導材料で製造すると、臨界温度以下であれば電力を消費しない。2022年ごろに実施したimecの予測によれば、構想する超電導AIデータサーバーは、現状最先端のCMOSベースのプロセッサーと比べて電力効率は100倍、実装面積当たりの計算量を指す「計算密度」は1000倍になると推定できた。
超電導技術を使ったコンピューターの例はこれまでもある。古くは1969年に、米IBMによる「ジョセフソン・コンピューター」の開発プロジェクトが発足している。2020年には、横浜国立大学が超電導CPU「MANA 1」を発表した。
imecの超電導AIデータサーバーと従来の提案技術との違いは大きく2つ。メモリーを含めたシステム全体を超電導化している点と、AIデータサーバーの機能を靴箱サイズまで小型化できる点である。
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