情報通信研究機構(NICT)らによる国際共同研究グループは、基準光配信と広帯域光コムを組み合わせ、光源1個で毎秒336Tビットという大容量のコヒーレント光通信に成功した。通信用光源の大幅削減が可能となる。
基準光配信と光コム技術で、通信チャネルの周波数が自動的に同期
情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心とした国際共同研究グループは2024年7月、基準光配信と広帯域光コムを組み合わせ、光源1個で毎秒336Tビットという大容量のコヒーレント光通信に成功したと発表した。通信用光源の大幅削減が可能となる。なお、実験に用いた39コアファイバーの全コアを活用すれば、毎秒12.7Pビットの伝送容量が得られるという。
NICTはこれまで、商用波長帯(C帯、L帯)とそれ以外の波長帯(O帯、E帯、S帯、U帯)を同時に活用することで、合計周波数帯域が37THzというマルチバンド波長多重通信を実証してきた。ただ、従来方式でこの技術を実用化するには、送受信側に多数の光源を用いる必要があるため、既存の設備に収まらないなど課題もあった。
研究グループは今回、S、C、L波長帯のほぼ全域(16THzの周波数帯域)で、光通信の25GHz周波数規格に準拠し、コヒーレント光通信に利用できる光コムを生成することに成功した。この光コムを基準光配信技術と組み合わせて、650波長のコヒーレント光通信システムを構築した。
しかも、650波長のコヒーレント光通信チャネルは、送受信ノード間で自動的に周波数が同期する。このため、光源モジュールごとに発振周波数を制御する必要がない。実験では、通信チャネルを3モード型マルチコアファイバーの1コアのみで構築。偏波多重16QAM方式の信号変調とモード多重により、毎秒336Tビットという伝送容量を実現した。
従来方式の光通信システムであれば、同じ伝送容量を実現するのに200個の商用光源が必要となる。これに対し開発した方式では1個の基準光源と光コムの組み合わせで済むという。実験に用いた39コアファイバーの全コアを活用した場合には、従来方式だと7500個の商用光源を必要とする。新方式を採用することで、大幅なコスト削減が可能となる。
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