ADVERTISEMENT
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、自動車メーカー各社が電動化を推進している。市場競争が激化する中、厳しい環境を勝ち抜くにはコスト競争力がカギを握る。22日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開幕した自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」でも電動化を見据えたコスト削減技術などが注目されている。
ジヤトコは日産自動車と開発を進める次世代電動パワートレーン(駆動装置)「X―in―1」を訴求する。主要な駆動部品の共有化・モジュール化により、コストで2019年比30%削減を目指している。生産方法をゼロから見直し、準備を進めてきた生産ラインが完成間近にある。佐藤朋由社長は「当社事業の中核になる。電動パワートレーンが加わることで電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、内燃機関(ICE)車など需要の変化に影響を受けにくい製品構成にシフトしていく」と意気込む。
ADVERTISEMENT
仏ヴァレオは日本初展示5点を含む電動化を支援する技術などを提案。ワイヤレス給電システム「イニーズ エア・チャージング・システム」は、通常複数のワイヤをより合わせる「リッツワイヤ」を用いる電線部分に単線を用いてコストを抑えた。「パワートレーン、ソフトウエア、車載空調も手がける当社の強みを生かす」(ヴァレオ)とする。
東海理化はEVの研究開発を手がけるe―Gle(イーグル、川崎市幸区)が開発するインホイールモーターに組み込まれる電流センサーモジュールを紹介。センサーで電流を検出し、フィードバックすることで高効率な制御が可能となり、電費性能向上に貢献する。
ADVERTISEMENT
EVのコストの3―4割を占めるとされるバッテリーの軽量化や信頼性、長寿命化もコストに直結する。ダイキョーニシカワが量産を始めた樹脂製バッテリーカバーは「材料の工夫を重ねて耐火性を高めて、最も厳しい中国の基準にも対応した」(ダイキョーニシカワ)。金属から樹脂への置き換えで軽量化効果や複雑な形状への対応などをPRする。
フコクの「バッテリーホールドシート」はバッテリーセル間に配置することで充放電時のセルの膨張・収縮を抑制し、バッテリーの長寿命化や信頼性向上につながる。トヨタ自動車のEV「bZ4X」に採用されるなど拡販に力を注ぐ。
ADVERTISEMENT
足元ではHVの需要が伸びている。自動変速機(AT)用トルクコンバーターが主力のエクセディはHV向けに変速機保護デバイスを訴求した。クラッチ技術を活用して電気駆動部の振動を受け止める部品に「国内外からの引き合いが好調だ」(エクセディ)という。
完成車メーカーではトヨタ自動車が26年までにEV10車種を投入し年150万台販売する計画。日産も26年までにグローバルで16車種の新型電動車を投入する。ホンダは40年に世界でのEV、燃料電池車(FCV)販売比率100%を目標に掲げる。
これらの完成車メーカーも、次世代EVやバッテリー製造に「ギガキャスト」などの革新技術の導入を決めるなど抜本的なコスト競争力強化に取り組んでいる。日本企業の電動化戦略の進展に向けて、完成車メーカーと部品メーカーの両輪での取り組みが不可欠だ。
【関連記事】 EVでも成長を目指すオイルシールメーカーの圧倒的強さ
0 件のコメント:
コメントを投稿