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具体的にはわかりませんが、「何か」があることは間違いないと思います。私は15年ぐらい前に築50年ぐらいの中古住宅を購入しました。場所も良く、広く、お手頃な、いわゆる「掘り出し物」でした。しかし、所有者のご高齢のご婦人が「この家は亡き夫が建てた大切な家です。古いかもしれませんが、良い家です。私はお金に困っているわけではないので、いくつかの条件に合意してくださる方にしか売るつもりはありません」と言っており、なかなか合意してくれる買い手が見つからず、仲介の不動産屋さんもちょっと持て余し気味の物件だったようです。条件は、その家が壊されるのは見るに忍びないので、自分が健在のうちは建て直しや取り壊しはしない、庭にある木のうち夫が好きだった木は切らない等、私にとってはさほど難しいものではなかったので、すべて合意しました。
その家の中を見せてもらうと、たくさんの飛行機の写真や模型が飾られていました。「これは亡くなられたご主人のものですか?航空関係のお仕事をされていたのですか?」と所有者のご婦人に尋ねると、「夫は元々飛行機の設計をしたくて、航空工学を専門にしていたのです。ところが日本が戦争に負けたために飛行機の研究が禁止され、仕方なく専門を農業に変えて、農業高校の教員になったんです。それで庭にいろいろなものを自分で植えて、よく同僚の先生方や農業高校の生徒さんたちが遊びにきていたものです。でもずっと飛行機が大好きでしたね。この家を建てる時には、『俺が自分で設計する。構造計算なら得意だからな』と言って、いろいろ楽しそうに計算しながら図面をひいて、自分で大工さんたちを監督していました。『ここの部分は飛行機と同じ構造で強度を出しているから、普通の家より頑丈だぞ』とか言って、本当に嬉しそうでした。それだけ主人の思い入れの強かった家ですので、大切に住んでくださる方にお譲りしたいのです」と、なぜ家を売るにあたって条件をつけているのか、理由を説明してくださいました。私は「わかりました。大切な家なんですね。できるだけ大切に住ませていただきます」と答えました。
しかし、所有者のご婦人の気持ちはよくわかりましたが、私も大きな買い物ですので、慎重に検討しなければならないところもあり、知人の工務店の方に家の状態を確認してもらうことにしました。工務店の方が、屋根から土台まで丁寧にチェックし、「とても状態が良いです。何の問題もありません。ただ外壁の塗装と屋根瓦が劣化しているので、外壁塗装と瓦の葺き替えは必要ですね」と言った後、少し首を傾げながら「躯体は本当にしっかりしています。ちょっと見てください」と言って、家の中を案内しながら、「襖も障子もドアも、どれもとてもスムーズに開け閉めができるだけでなく、これが落ちないんです」と言いながら、ドアや障子にメモ用紙を挟んで見せてくれました。そして「普通、木造の住宅なら、これだけ築年数が経過すれば、よくできた家でも多少は建付けが悪くなるものです。それを調整するのも大工の仕事なんですが・・・この家の場合、ほとんど狂いが出ていないんです。いったい誰が建てたんでしょうねぇ・・・」と不思議そうな表情をしていました。
それで私がご婦人から伺った、亡くなったご主人の話をしたところ、工務店の方は「飛行機ですか・・なるほど~、う~ん」と驚いた後、「いや、不思議だったんです。この家はとても良く出来ていることは間違いないのですが、あちこち、私たちの常識ではまずありえない構造をしているんです。普通家を建てる時に、こんな形には絶対しないはず、いったいどんな人間が設計したんだろうって思いながらチェックしていました。間違っているというわけじゃないんです。むしろ逆です。仕組みを見れば『なるほど、これなら大丈夫』ということはわかるんですが、どこからそんな発想が出てくるんだろうと不思議だったんです。普通の建築ではまず扱わないような構造計算やってます。そうですか、飛行機の設計をしていた方ですか・・・なるほどねぇ、それを応用していたんですね。そりゃ違うはずだ。あぁ、この家はきちんと手入れをしていけば、あと50年は問題ないです。おそらくもっともつでしょう。設計された方も100年は住めるような家を作りたかったんじゃないですか。大切にして欲しい家ですよ」としきりに感心していました。
私は詳しい技術的なことはわかりませんが、飛行機の設計を学んでいた方が住宅を設計すると結構凄いものを建てることもできるようです。その後、水回りの修理等はありましたが、15年間特に大きな問題はなく、現在は私の長男夫婦が住んでいます。
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