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7日に出そろった総合化学5社の2025年3月期連結業績予想は、まだら模様となった。旭化成や住友化学が当期利益を上方修正した一方、三井化学や東ソーは下方修正し明暗が分かれた。各社の24年4―9月期連結決算は電子材料関連の堅調さなどが目立ったが、下期にかけては市況悪化などによる業績への影響を懸念する向きがある。
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本業のもうけを示すコア営業利益などを含めると、通期予想を上方修正したのは三菱ケミカルグループを含む3社。上方修正の背景の一つとして、堅調な事業の推移が挙げられる。
旭化成は石油化学関連事業の改善や好調な電子材料などがけん引し、マテリアル領域が伸びた。住友化学は事業構造改善費用の減少などが寄与。事業再構築の効果や半導体材料などが好調に推移していることも後押しした。
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三菱ケミカルグループはディスプレー関連材料などが堅調で、アクリル樹脂原料「MMA」の市況改善も利益を押し上げた。ただ事業構造改革関連費用を検討中のため、当期利益は据え置いた。
一方、三井化学は通期予想の売上高と各利益段階を下方修正。東ソーは各利益段階を引き下げた。三井化学は大阪工場(大阪府高石市)のエチレンプラントでの稼働再開の延期が響き、コア営業利益で110億円程度の悪化を見込む。ただ石化関連では値上げや構造改革も進めており、中島一代表取締役専務執行役員は「トラブルの影響がなければコア営業黒字化が見えている」と語る。
東ソーはクロル・アルカリ事業が上期で営業黒字に転換したが、塩化ビニール樹脂での需要の回復遅れなどが響く。三菱ケミカルグループも下期にディスプレー関連の需要減などを想定しており、予断を許さない状況だ。
日刊工業新聞 2024年11月08日
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