最先端半導体の製造に欠かせないEUV(極端紫外線)露光装置が間もなく日本に上陸する。Rapidus(ラピダス、東京・千代田)が2024年内にも千歳工場(北海道千歳市)に導入し、これが国内第1号となる見通しだ。同装置を世界で唯一製造しているオランダASMLが供給する。
ラピダスを皮切りに、EUV露光装置は日本の半導体工場に相次ぎ導入される。米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)は2025年に広島工場(広島県東広島市)に導入し、2026年からDRAMの量産に使う。台湾積体電路製造(TSMC)は2027年の稼働を目指す熊本第2工場(熊本県菊陽町)に導入すると推測される。産業技術総合研究所は米Intel(インテル)と連携し、EUV露光装置を使う研究開発拠点を整備する。
ASMLがEUV露光装置の開発に成功し、競合のニコンとキヤノンが失敗した理由については様々な分析がなされてきた。日本の2社は前哨戦ともいえるArF(フッ化アルゴン)露光装置でASMLに水をあけられ、2010年代初頭の時点でEUV露光装置の開発を続ける体力を失った。それ以前、ニコンとキヤノンはEUV露光装置の共同開発を模索した時期もあったようだが実現しなかった。
「彼のリーダーシップは強烈だった」。3社による開発競争をよく知る関係者の1人が指摘するのは、ASML前社長兼最高技術責任者(CTO)のMartin van den Brink(マルティン・ファンデンブリンク)氏の手腕だ。
1984年のASML創業当初からの社員で、2013年に社長兼CTOに就任。前最高経営責任者(CEO)のPeter Wennink(ピーター・ウェニンク)氏と共にEUV露光装置の実用化を成功させ、2024年4月にそろって退任した。ASMLを半導体装置業界で世界首位、時価総額で欧州2位をうかがう存在に押し上げた立役者だ。
EUV露光装置はTSMCが2019年に業界で初めて量産に導入し、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国SK hynix(SKハイニックス)、米Intel(インテル)も続いた。そのすべての需要をASMLが独占している。2023年の出荷台数は53台で、価格は現行機で200億~300億円、次世代機で500億円を超えるとされる。
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