http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151019-00000063-san-hlth
がんの治療や事故で舌を失い、会話が困難になった人が再び話せるよう医療支援する“夢の会話プロジェクト”が、岡山大病院(岡山市)で進められている。自身も舌がんを患い、舌の4分の3を摘出した同大学の小崎健一教授(51)が学内の研究グループに協力して「人工舌(ぜつ)」を開発、専門の外来を立ち上げた。人工舌で言葉を取り戻した小崎教授は「同じ悩みを持つ患者のために少しでも役立てれば」と話している。(小林宏之)
小崎教授は7月、動画サイト「ユーチューブ」に自らの声でこんなメッセージを投稿した。
〈私は舌がんによって、舌と下あごの骨、それぞれの大部分を手術で切除しました。手術の後は、食べたり飲んだり話したりすることがとても難しくなりました。しかし、ある装置(人工舌)を口の中に装着することによって、会話についてはその機能的な障害をかなり改善することができています〉
小崎教授は歯科薬理学が専門で、東京医科歯科大などで口腔(こうくう)がんの新薬開発を手がけてきた。舌がんと診断されたのは岡山大に教授として赴任した1カ月後の昨年5月。進行が早く、初診時には末期の「ステージ4」と診断された。「口腔がんを専門にしている自分が、その患者になるとは…」。皮肉な現実を突きつけられた。
同年6月から3回の手術で舌の4分の3を失うとともに、下あごの骨の右半分も切除。会話や食事が困難になり、仕事にも影響したため、同大学でかみ合わせや口腔機能の再建が専門の皆木省吾教授に相談した。
皆木教授らは下あごに装着して舌のように動かせる人工舌のアイデアを温めていたが、この相談をきっかけに本格的な開発に着手。小崎教授は自ら“実験台”となり、試作品を装着しての感想や意見を伝え、チームで改良を重ねた末に現在の人工舌が完成した。
皆木教授は「専門家の小崎教授の指摘は的を射ていた。人工舌は彼の協力なくしては完成しなかった。小崎教授の意志の強さを感じた」と振り返る。
根気強くリハビリを続けた結果、小崎教授は言葉を取り戻し、今年度初めには人工舌を装着して講義も行った。学生らに「8割程度は理解できた」と言ってもらえたという。
日本歯科衛生士会によると、国内では年間約6千人が口腔がんを発症している。6割は舌がんで、助かった人も舌の切除などで発音が困難になる場合が多い。
こうした現状を踏まえ、今年9月、同大病院に誕生したのが「夢の会話プロジェクト」外来だ。歯学部と工学部が協力し、舌を失った人でもうまくコミュニケーションが取れるよう治療するとともに、人工舌を使いこなすためのリハビリも実施する。
話した音声信号をデジタル処理し、聞き取りやすい音声に変換する技術の開発も試みており、舌摘出以外でも言語障害がある人たちの支援につながると期待される。
小崎教授は「歯科医師、がん研究者、がん患者という3つの立場を経験し、さらに大学教授という立場で今も闘病を続けている自分が『患者のために少しでも役に立てれば』という思いを伝えられればうれしい」と話している。
小崎教授は7月、動画サイト「ユーチューブ」に自らの声でこんなメッセージを投稿した。
〈私は舌がんによって、舌と下あごの骨、それぞれの大部分を手術で切除しました。手術の後は、食べたり飲んだり話したりすることがとても難しくなりました。しかし、ある装置(人工舌)を口の中に装着することによって、会話についてはその機能的な障害をかなり改善することができています〉
小崎教授は歯科薬理学が専門で、東京医科歯科大などで口腔(こうくう)がんの新薬開発を手がけてきた。舌がんと診断されたのは岡山大に教授として赴任した1カ月後の昨年5月。進行が早く、初診時には末期の「ステージ4」と診断された。「口腔がんを専門にしている自分が、その患者になるとは…」。皮肉な現実を突きつけられた。
同年6月から3回の手術で舌の4分の3を失うとともに、下あごの骨の右半分も切除。会話や食事が困難になり、仕事にも影響したため、同大学でかみ合わせや口腔機能の再建が専門の皆木省吾教授に相談した。
皆木教授らは下あごに装着して舌のように動かせる人工舌のアイデアを温めていたが、この相談をきっかけに本格的な開発に着手。小崎教授は自ら“実験台”となり、試作品を装着しての感想や意見を伝え、チームで改良を重ねた末に現在の人工舌が完成した。
皆木教授は「専門家の小崎教授の指摘は的を射ていた。人工舌は彼の協力なくしては完成しなかった。小崎教授の意志の強さを感じた」と振り返る。
根気強くリハビリを続けた結果、小崎教授は言葉を取り戻し、今年度初めには人工舌を装着して講義も行った。学生らに「8割程度は理解できた」と言ってもらえたという。
日本歯科衛生士会によると、国内では年間約6千人が口腔がんを発症している。6割は舌がんで、助かった人も舌の切除などで発音が困難になる場合が多い。
こうした現状を踏まえ、今年9月、同大病院に誕生したのが「夢の会話プロジェクト」外来だ。歯学部と工学部が協力し、舌を失った人でもうまくコミュニケーションが取れるよう治療するとともに、人工舌を使いこなすためのリハビリも実施する。
話した音声信号をデジタル処理し、聞き取りやすい音声に変換する技術の開発も試みており、舌摘出以外でも言語障害がある人たちの支援につながると期待される。
小崎教授は「歯科医師、がん研究者、がん患者という3つの立場を経験し、さらに大学教授という立場で今も闘病を続けている自分が『患者のために少しでも役に立てれば』という思いを伝えられればうれしい」と話している。
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