岩田博夫 名誉教授とパナソニック株式会社が共同で自動培養装置を開発しました。さらに、開発した自動培養装置を用いて、長期間の培養を行い、ヒトiPS細胞の主要な特徴である未分化性・多分化能が十分に維持できていることを確認しました。
本研究成果は11月17日、「Scientific Reports」に掲載されました。
研究者からのコメント
治療また創薬にiPS細胞を用いるためには、性質の安定したiPS細胞を供給する必要があります。人がiPS細胞を調製すると間違い、さらに良かれと思い培養条件を改変する可能性もあります。JSTのCOIプログラムで出来る限り人の手が入らない条件下でiPS細胞を継続的に供給できる自動iPS細胞経代培養装置の開発を行いました。また、装置内には種々の培養条件が記録として残されているため、予期せぬことが起こったときのトラブルシューティングも容易に行えるようになっています。
概要
2014年、iPS細胞由来の細胞を用いた世界初の臨床研究が本国で開始されるなど、再生医療、創薬分野におけるiPS細胞の利用は今後ますます増加していくことが予想されます。しかし、ヒトiPS細胞は、他の一般的な細胞とは大きく異なり、高度な培養技術の習得が必要です。また、土曜日・日曜日を含む毎日の培養作業は、研究者にとって大きな負担となっていました。それらの問題を解決するために自動培養装置の開発が進められており、胚性幹(ES)細胞やiPS細胞の自動培養装置に関する報告がされていますが、装置が大型である、または短期間の培養に対する評価しか行っていないという課題が残されていました。
今回、国立研究開発法人科学技術振興機構のCOIプログラムにおいて、岩田名誉教授とパナソニック株式会社が共同で自動培養装置を開発しました。さらに、開発した自動培養装置を用いて、長期間の培養を行い、ヒトiPS細胞の主要な特徴である未分化性・多分化能が十分に維持できていることを確認しました。
詳しい研究内容について
書誌情報
[DOI] http://dx.doi.org/10.1038/srep16647
- 京都新聞(11月18日 25面)、産経新聞(11月18日 24面)および日刊工業新聞(11月18日 25面)に掲載されました。
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