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2015年12月8日火曜日

北京の大気汚染、初の最悪「赤色」警報 市民の不満膨張、当局“保身”疑惑も


8日、北京で最も高い中国国際貿易センター第三期(右のビル)前をマスクをつけて歩く親子。大気汚染が深刻になると地上330メートルの同センターの上部は霞んで見えなくなる(川越一撮影)1/5枚

 【北京=川越一】深刻な大気汚染が続く北京市で8日、4段階の警報の中で最悪の「赤色警報」に伴う車両の通行規制などが実施された。赤色警報が出されたのは、2013年10月に警報システムが試行・導入されてから初めて。市民生活や経済活動に影響が出る中、過去の対応と比較し、当局の“保身”を疑う声も出ている。

 米大使館のウェブサイトによると、北京市では8日午後1時(日本時間同2時)、微小粒子状物質「PM2.5」を含む汚染指数が「危険」とされる367を記録した。北京市環境保護監測センターのデータでも314に達した。

 幼稚園や日本人学校を含む小中学校は休校となった。ナンバープレートの偶数・奇数で市内を通行できる車両を制限。工場の操業を停止したり、土砂を積んだダンプカーなどの走行を禁止するなどの対策も講じられた。混雑する市内のこども病院では、7歳の男児を連れた母親が「昨日から咳が出始め、今日は症状が悪化した」と不安げに話していた。

 しかし、天安門前を東西に走る幹線道路「長安街」沿いで歩行者100人を観察したところ、マスクを着用していたのは約30人に留まった。40代の男性運転手は「先週は高層ビルの上部が見えなかった。今回は見えるから、先週ほどひどくない」としていた。

 北京では11月末から12月初旬にかけて深刻な大気汚染が続いた。1日には一部地域で汚染指数が、世界保健機関(WHO)の安全基準の40倍となる1000に達した。

 大気汚染が3日以上続いたにも関わらず、警報を「オレンジ」から「赤色」に引き上げなかったことに対し、市民の間から疑問が呈された。各部門の連携の悪さやデータが共有されていないこと、汚染対策へ投じられる予算の少なさもやり玉に挙がった。

 前回よりも汚染指数が低い今回、赤色警報が出されたことについて、同センターの張大偉主任は国営新華社通通信に対し、「深刻な汚染が3日以上続くとの予測に基づき、赤色警報を出した。前回は赤色警報の条件に達しなかった」と弁明している。

 しかし、ネット上には「こうした措置はすべて手遅れだ」「(北京市は)環境保護省の圧力で赤色警報を出したのだろう」といった市当局への批判が寄せられている。

 また同省に対しても、「省の指導のもと、中国の環境汚染はますますひどくなっている。省は真剣に仕事をしていないのではないか」「環境保護相は就任時に何と言ったのか。辞職しろ!」などと、厳しい言葉が浴びせられている。

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