今年もそろそろ受験シーズンが到来ですね。この時期は全国各地まだまだ寒く、雪が降る地域では交通機関のトラブルが心配です。
埼玉県川越市の川口瑠美子さんは、中1の頃に航空自衛隊のブルーインパルスを見た時からパイロットになる夢を持ち続けていました。そして中3になった瑠美子さんは夢を実現させるため、石川県輪島市にある航空高校を受験することにしました。
入試前日の2010年1月16日、瑠美子さんと母のスサナさんは新幹線で新潟県長岡市まで行きました。そこから電車とバスを乗り継いで高校のある輪島まで行く予定をしていたのです。ところがその日の新潟は大雪、乗るはずだった列車が運休してしまったことを知ります。時刻は午前0時、航空高校までの道のりはまだ300kmありました。このままでは試験開始の9時に間に合わない。どうしようもない状況に、瑠美子さんは泣き出してしまいました。
しかしスサナさんは諦めていませんでした。娘の夢のために何かできる事はないかと必死に考えた母は、あるアイディアにたどり着きます。
「ヒッチハイクしかない。」
可能性にかけてみることを決心した母娘は高速道路のインタージェンジまで歩き、大雪が降りしきる中通る車に向かって1時間以上手を降り続けました。そしてやっと停まってくれた車を2台乗り継ぎ、午前2時半に新潟県直江津駅に到着します。電車はもちろん動いておらず、輪島まではまだまだ。途方に暮れる留美子さんを母は再び励まし、2人は少しでも前進しようと歩きつづけました。
試験まで4時間を切った午前5時、24時間営業のガソリンスタンドにたどり着いた2人は、そこに停車していた1台の運送トラックを見つけます。トラックは神戸へ向かう途中だったため、通ってもロスが無い金沢までならといって乗せてもらえることになりました。親子を乗せたトラックは北陸道を走り、新潟から富山、そして石川へ。道中スサナさんは「ヨコヤマ」さんと名乗る運転手の男性にことの成り行きを話しました。ヨコヤマさんは無口でしたが、優しい男性で「寝た方がいいよ、受験でしょ」「お母さんも疲れたでしょう?」と気遣ってくれました。
やがて石川県に入ると、国道の分かれ道にきました。しかしトラックは金沢ではない方角へと走り始めます。するとヨコヤマさんが親子に言いました。
「輪島までいっちゃる」
このペースだと金沢着が7時半、金沢に到着しても試験会場の輪島まではバスで2時間以上、試験開始の9時には間に合わないことを彼は心配したのです。配送先に4時間遅れてまで送ってくれると言うヨコヤマさんに、母娘は感謝の言葉が見つかりませんでした。
そして試験開始10分前に到着。欠席だと認識していた受験生が大型トラックに乗って到着し、学校側も驚きました。母娘は改めてお礼をさせてもらうためヨコヤマさんに名前と連絡先を聞きますが、ヨコヤマさんは「いいよいいよ、うちの娘も同じ年頃で受験生の気持ちはよく分かるから」と言って走り去ってしまいました。
瑠美子さんは、無事入試に挑むことができました。そして作文試験に出題された課題を見て目を丸くします。
「私が感動したこと」
瑠美子さんは、迷わず前日からのいきさつをありのままに綴りました。大雪の深夜に見知らずの親子を乗せてくれたトラック運転手のあたたかさ、絶対に諦めないと懸命にヒッチハイクをして車を探してくれた母、「人の優しさに感動した」と。
「私の感動したことは、人の優しさです。金沢まで向かっている途中『よし、輪島までいっちゃる!』と言われました。このような形で人の優しさにふれることができ、感動、感謝」
後日、瑠美子さんのもとに合格通知が届けられました。学校はお礼を言おうとトラックに書いてあった運送会社の名前から「ヨコヤマ」さんを探し当てて電話をかけました。ヨコヤマさんの最初の一言は「その子どうなりましたか?」でした。合格したことを伝えると「あーよかった」と言っていたそうです。
瑠璃子さんの心温まるエピソードはテレビや新聞などでも取り上げられ、日本中を感動させました。しかしヨコヤマさんはその後も一切取材に応じることはありませんでした。理由は「たいそうな事をした訳じゃないから」だそうです。
この時期になれば思い出すこのエピソード、いかがでしたか?川口さんはその後、日本航空大学校に進学し夢を追い続けることができました。最後まで諦めず娘を励まし続けた母、名前しか告げず、走り去っていった無口なトラック運転手。その2人のあたたかい心が、1人の少女の夢を繋ぎました。ヨコヤマさんの善意、簡単に諦めなかった母と娘にあなたも心を動かされたなシェアしてください!みんな本当に立派!
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