さまざまな細胞や組織に変化する能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)から精子の元となる「精子幹細胞」を試験管内で作製することを、マウスを使って世界で初めて成功したと、京都大大学院医学研究科の斎藤通紀教授(機能微細形態学)らの研究チームが6日付の米科学誌「セル・リポーツ」電子版で発表した。
チームはこの精子幹細胞から精子ができることや繁殖できることも確認。不妊治療などに役立つ可能性があると期待されている。
これまでチームはマウスのES細胞を使い、精子や卵子の元となる「始原生殖細胞」を作っていた。今回は、ES細胞から作製した始原生殖細胞にマウスの胎児にある別の生殖細胞を混ぜることで、始原生殖細胞から成長が進んだ精子幹細胞を作製することに成功したという。
生殖細胞を持たない大人のマウスの精巣に、精子幹細胞を移植すると精子ができ、卵子と受精させると健康なマウスが生まれた。
今後、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った精子幹細胞の作製にもつながる基礎技術として期待され、斎藤教授は「不妊や遺伝子異常による疾患の治療に役立つ可能性がある」と話している。
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