シカを観光資源や天然記念物として保護してきた自治体が、増えすぎたシカの対応に困るケースが増えてきた。
厳島神社(広島県廿日市市)のある宮島や春日山原始林(奈良市)などの世界遺産の地では、観光客が弁当などを食べられたり、山林が食害にあったりと被害が続出。餌やりの制限や捕獲によって頭数を抑える動きも出ているが〈観光シンボル〉として親しまれてきたこともあり、解決は容易ではない。
◆宮島 超音波で侵入防止
3日、宮島のフェリーターミナルから外に出ると放送が聞こえてきた。
「シカは野生動物です。貴重品、手荷物の管理にご注意ください」。厳島神社の参道周辺ではあちこちにシカがいて、観光客がカメラを向けていた。
一方で、人が食べるお菓子を持つ観光客に1頭が近づき、袋を奪って数頭が群がったことも。弁当をシカにとられないよう立って食べていた男性(63)は「シカがしつこいので驚いた」。
宮島は大半が原生林で、北東部に市街地がある。住民らによると、戦後数十頭だったシカを島の観光資源にしようと捕獲。柵内で飼育した結果、急増し、その後、台風で柵が壊れて市街地に定着した経緯がある。
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