原木栽培は時間がかかる
椎茸には大きく分けて2通りの栽培方法があります。
原木栽培(げんぼくさいばい)と菌床栽培(きんしょうさいばい)です。
≪原木栽培とは≫
林や山の斜面、もしかしたら田舎のおばあちゃん家の日陰などに1mほどに切られた木が並んでいるのを見たことはありませんか?
それは原木栽培で椎茸を栽培しているのかもしれません。
原木栽培は適度な長さに伐った広葉樹に椎茸の種コマ(菌糸の固まり)を打ち込んで栽培する方法です。
一般的に原木で栽培した椎茸は特に風味が優れていると言われています。
≪菌床栽培とは≫
椎茸だけでなく現在のきのこ栽培の主流はこちらの菌床栽培です。
オガクズや米ぬか、トウモロコシの粉末などを水と一緒に練り込み袋やプラスチック瓶に詰め、そこにきのこの菌糸を蔓延させて栽培する方法です。
原木栽培に比べ短期間でたくさん栽培するのに向き、一年中いつでも椎茸が食べられるのはまさに菌床栽培のおかげです。
上述の通り、原木で栽培した椎茸は風味の良さが特徴です。
東京 青梅に原木椎茸をもぎ取ってバーベキューで食べられる内沼きのこ園さんという施設があるのですが、もう採れたて原木椎茸の網焼きなんか椎茸に水分がありプリップリジューシーで最高に美味いです!
そんな良いとこだらけみたいな原木栽培ですが実は欠点もあります。
木を伐採してから椎茸が収穫できるまで1~2年もかかってしまう『時間』と、その間重い原木を何度も移動しなければならない『労働力』のかかる栽培方法なんです。
しかし!
そんな原木栽培をお手軽に短期間でご家庭で体験できる栽培キットがあるとの情報が。
早速きのこ問屋で仕入れて栽培してみることにしました。
原木椎茸栽培キット
原木椎茸栽培キットは椎茸農家さんに種菌を販売している富士種菌(ふじしゅきん)さんが製造しています。
種菌屋さんなんて超マニアック。・・・失礼、椎茸の超プロ集団の原木栽培キットと言うことなので安心ですね!
数日後、きのこ問屋に原木椎茸栽培キットが届きました。
さっそく開けてみると木がドーン。
長さ35㎝ほど、直径は9~10㎝くらいの短木です。
(原木栽培ではこれをほだ木と呼びます)
原木栽培用のほだ木にしては小型。
断面を見ると真っ白で椎茸の菌糸が木の中に回っているのが分かります。
その他、栽培キットには
・ほだ木を置く鉢皿
・厚手の大きいビニール袋
・輪ゴム
・説明書
が入っていました。
外箱も栽培準備に必要なので捨てないで取っておきます。
これだけで原木栽培が始められるとは・・・
家庭で手軽に栽培できるよう、かなりコンパクトにまとめられています。
この他、ご家庭で用意するものとして
・16℃以下のよく冷えた水(準備時) 6~8リットルくらい
・霧吹き(栽培中)
が必要とのことです。
≪菌床椎茸栽培キットCTAKEOの霧吹きを転用≫
原木椎茸栽培キット、栽培準備
それではさっそく原木栽培の準備にかかります。
①原木を水に沈める
ほだ木が入っていた外箱の中にビニール袋を広げ、ほだ木を立てます。
木にすっぽりかぶるまで16℃以下の冷水を注いでいきます。
『ふむふむ、16℃以下の冷水とな。きのこ問屋の水道水は何℃かな?』と計ってみたところ22.5℃。
季節や場所にもよると思いますが意外と高かったです。
たまたま冷蔵庫に入れていた水の温度を計ってみたところ8.1℃だったためこちらを使用しました。
準備を始める前に水を冷やしておいた方が良さそうです。
冷たい水に浸けることで椎茸の菌がびっくりして椎茸が生えてきやすくなるんです。
プロの生産者さんたちはこの他、ほだ木をフォークリフトで揺する、コンクリートにトントンとぶつける、電気を流す、などの方法で椎茸をびっくりさせて(刺激を与えて)発生しやすくしています。
②24時間、水に浸けておく
ほだ木を完全に水に沈めたら水が漏れないように輪ゴムでしっかり閉じます。
そのままの状態で24時間置いてほだ木にしっかり給水させます。
(万全を期してビニール袋に入れておきましたが全く漏れていませんでした)
③ほだ木を取り出し日陰にセット
24時間しっかり給水させたらホダ木を取り出し鉢皿に立てます。
断面がきれいなのでしっかり立ちました。
給水に使ったビニール袋を、内側に水滴を軽く残したままの状態でほだ木に被せます。
きのこの栽培には湿度が必要なので、家庭ではビニール袋を掛けておくことで湿度を保ちます。
④日々の管理:霧吹き
栽培中は袋の内側に常に水滴が付いているくらいが最適です。
その状態をキープできるよう、時々霧吹きで保湿しましょう。
原木椎茸栽培に向いている場所は?
さて、準備が終ったら早速栽培開始です。
うまくいけば2~7日くらいで椎茸の芽が出てくるとのこと。
栽培中のほだ木の置き場所は
・室内で直射日光のあたらない場所
・出来るだけ涼しい場所
が適しています。
ということで皆さんが快適に生活している部屋で栽培できそうです。
むしろ椎茸が日々育っていくところを見る楽しみもあるので、ぜひ目につくところで栽培しましょう!
きのこ問屋では事務所内で栽培することにしました。
・温度16~18℃
・湿度80%前後
あまり暑い日が続く場合は保冷材などを利用して涼しさを保つと良いそうです。
原木椎茸、きのこ問屋で栽培中!
きのこ問屋オフィスに原木のある風景。
椎茸が付いてないのでまだちょっとさみしい感じですが、ほだ木の左右からにょきにょき椎茸が生えている光景を想像したらワクワクしません?
ところで原木栽培に使用するほだ木にはところどころ1センチ程度の穴が開いています。
この穴は椎茸の種菌を植えた場所です。
初回はこの穴から椎茸が生えやすい(樹皮が無く軟らかいため)ので、ここを注意深く観察して椎茸の芽が出ていないかチェックしましょう。
セットしてから2日、菌糸の塊らしきものが出てきました。
この先どうなるのか楽しみです!
原木椎茸 栽培キット【準備編】のまとめ
①ご家庭用の原木椎茸栽培キットに挑戦中。
②栽培準備のポイントは浸水する水の温度。菌糸に刺激を与えるため必ず16℃以下の冷水を用意します。
③原木が乾かないようビニール袋をしっかり被せ保湿しながら管理しましょう。
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