コーディネーターは言わば、その道何十年というプロフェッショナルで、顧客のことも、生産者のことも熟知しており、その経験を持って双方を結びつけています。
こうした役割を、日本では伝統的に商社が担ってきましたが、商社のような規模では、細かい部分までをカバーしきれません。また、商社の場合は、担当者が数年で異動することもあります。
デザイナーの意見を聞く、顧客の意見も聞く、それらをさらに生産者に伝える、新しいニット素材を採用してくれそうなデザイナーを探して呼んでくる。それがコーディネーターの役割です。
ですから、コーディネーターの意義を考えるとやはり、何十年という経験が蓄積されており、顧客や生産者に顔をよく知られているということは、非常に重要なファンクションなのです。カルピにはそのようなコーディネーターがしっかりと根を張っているということです。
ただ、価格競争の波が押し寄せる中で、カルピでも生産拠点の国外移転などが進んでおり、カルピのニットおよびアパレル製品のうち「100% Made in Italy」である割合は現状では40%ほどです。
そして、カルピの中で縫製工程を担う企業は、ほぼすべてが中国人経営だと言われています。そのような流れの中で、今後コーディネーターの役割は少しずつ変容していくことでしょう。
(次回へ続く)
※本連載は大前研一さんの著作『大前研一ビジネスジャーナルNo.11』より日本の「地方創生」の課題について解説したものです。
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