https://home.komatsu/jp/press/2014/others/__icsFiles/afieldfile/2017/03/07/kcx_report-2.pdf
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2014 年 6 月 10 日
事故調査委員会中間報告(要旨)
事故調査委員会
1. はじめに
2014年4月25日、コマツキャステックス株式会社(富山県氷見市)本社工場にお
いて、アーク炉(B炉)の事故(死者1名、負傷者4名)が発生したことを受けて、5
月2日、委員:社外有識者3名、事務局:コマツ社員3名で構成される事故調査委員会
が設置された。
事故調査委員会の目的は、まず、事故に至った状況を明らかにし、次いで、事故原因を
究明し、それに基づき、事故の再発防止対策を提言することである。
これまで3回の委員会を開催し、検討を進めてきたが、現時点で明らかになってきた事
故発生のメカニズム等について、中間(経過)報告する。本書はその中間報告の要旨で
ある。
2.事故の概要
2014年4月25日18時4分頃、コマツキャステックス株式会社本社工場において、
アーク炉(B炉)溶解工程(※参照)の酸化期(不純物除去)作業において、昇温・攪
拌を目的とした自動酸素吹込装置を用いて酸素付加直後に溶解炉から炎が上がって、熱
風と溶けた鉄を覆っているスラグが飛散し、炉の周辺にいた作業者5名が受傷した。
※ 参考:アーク炉溶解工程
①材料装入:炉内に材料(スクラップ等)を投入。三相交流電源に接続する3本の人造
黒鉛電極を装入。
②溶解期:通電→主原料間にアークを発生させ、材料を溶解。
③酸化期:酸素を吹き込み、化学反応(O2+2C → 2CO+4,400Mcal/t)させ不純
物を除去。
還元期:脱硫及び成分調整を行い、溶鋼を所定の温度に調整。
④出鋼:取鍋に出鋼。
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3.事故原因の推定
事故原因として考えうる①水蒸気爆発、②粉塵爆発、③溶湯の突沸、及び④燃料等の爆
発の各可能性を検証したところ、①水蒸気爆発については、本件事故においては水漏れ
が確認できなかったこと、②粉塵爆発については、着火しやすい粉塵が周囲に存在しな
いこと、③溶湯の突沸については、突沸の場合想定される炉床の損傷がなかったこと、
④燃料漏れによるガス爆発については、当該アーク炉においては少量の灯油しか使用し
ておらず、かつ、漏れはなかったことなどから、これらの可能性は極めて低いと考えら
れる。
そのため、現在考えうる事故原因としては、⑤一酸化炭素ガスの急速な燃焼、すなわち、
炉内において大量に発生した一酸化炭素ガスが、急速に酸素と反応することによって、
二酸化炭素への化学反応が急激に進み、大量の熱風がスラグを伴って噴出したものであ
る可能性がある。
事故原因究明にあたっては、参考として、他の事故事例等を調べたが、今回の事故に似
た事例はなかった。
これまでの調査で得られた知見に基づき、本件事故に至る上記⑤の事象の経過を推定す
ると、以下のとおりと考えられる。
・自動酸素吹き込み(自動ランス)により炉内に供給された酸素および炉壁から溶湯に
落下したバリ(溶解時に溶けた鉄が飛散し酸化鉄となって炉壁に付着したもの)から
発生した酸素が溶湯内の炭素と反応した結果、大量の一酸化炭素ガスが発生し、予期
せぬ大規模なボイリングが起きた。
・この予期せぬ大規模なボイリングの発生により、スラグが除滓口等を塞いだため集塵
能力が低下し炉内が酸素不足、一酸化炭素過多の状態となった。
・除滓口を塞いでいたスラグが流出した結果、除滓口に隙間が発生し、同時に集塵機能
が回復したため炉内に大量の外気が一気に流入した。
・流入した外気中の酸素と炉内の大量の一酸化炭素が急速燃焼を引き起こし、発生した
熱風がスラグを伴って炉外へ急速に噴出し、本件事故に至った。
4.再発防止対策
現時点で推定される事故原因に対する再発防止対策及びさらなる安全作業のための
追加改善策は、中間報告書「10.再発防止対策」に列挙のとおり。今後各再発防止対
策について、その実効性を検証する等、更なる検討を進める。
5.今後の取り組み
本中間報告は、現時点で明らかになった事項についてとりまとめたものであり、今後さ
らに直接の事故原因の詳細な究明を行うとともに、その直接原因の背景にある設備、運
転、管理のあり方や組織、風土等について取り組むべき課題を挙げ、再発防止対策につい
ての提言を行う。
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