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2020年2月1日土曜日

遺伝子操作された「オスだけが生き残る蚊」は、西半球のマラリアを撲滅できるか

https://wired.jp/2018/06/26/self-limiting-mosquitoes/
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遺伝子操作された「オスだけが生き残る蚊」は、西半球のマラリアを撲滅できるか

アメリカ大陸でマラリアを伝搬する、アノフェレス・アルビマヌス。細菌による不妊化が効かないこの蚊の生息数を減らすために、オスだけが生き残るよう遺伝子操作された蚊の研究が進められている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団も出資するこの実験は、西半球のマラリア撲滅という悲願を達成できるのか。
mosquito
PHOTO: GETTY IMAGES
ロンドンから1時間ほどの場所にある研究所。来月ここで、ある作業を科学者たちが始める。DNAの断片を縫い合わせ、それを数百個の小さな虫の卵に挿入するのだ。
この作業は、新しい種類のを生み出すための第一歩である。それは西半球のマラリア撲滅に役立つ可能性を秘めた蚊だ。

ゲイツ財団が期待するテクノロジー

今回の作業の対象は、中央アメリカやカリブ海地域でマラリアを伝搬しているハマダラカの一種、アノフェレス・アルビマヌス(Anopheles albimanus)という蚊だ。
プロジェクトを行っているのは、イントレクソンの英国子会社であるOxitec(オキシテック)である。遺伝子組換え生物(GMO)のグローバル企業であるイントレクソンは、これまでにも遺伝子組換えサーモン茶色くならないリンゴなどを開発してきた。Oxitec自身は、子孫を残せない蚊[日本語版記事]の開発などによる感染症予防ビジネスで名をあげている。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、ゲイツ財団)から410万ドルの投資を受けたOxitecは、西半球でマラリアを媒介する蚊に、特許取得済みの技術である「Friendly」の適用を始めた。同社は実地試験に使える自己制御型の蚊を、2020年までに準備する予定だという。

難航中の「2020年マラリア撲滅計画」

この2020年という目標は、偶然設定されたものではない。
13年、中央アメリカとカリブ海地域10カ国から公衆衛生を担当する大臣がコスタリカの首都に集まり、2020年までに同地域からマラリアを撲滅させるという目標を掲げた。13年当時、それは達成可能な目標に思えた。05年以来、死に至るこの病の発生件数は減っていたからだ。
しかし、15年にジカ熱が流行しだした[日本語版記事]ころから、数字は少しずつ悪化しはじめた。世界保健機関(WHO)が17年に出したマラリアに関する報告書は、この病との闘いでのこれまでの進展が失速し、退歩の危機にあると警告している。
こうした状況を受け、近年増えるマラリア対策基金のなかでもリーダー格のひとつであるゲイツ財団が、18年1月に中央アメリカでの闘いに参戦した。米州開発銀行とともに、この地域のマラリア撲滅のイニシアチヴに1.8億ドルの支援を行うことを発表したのだ。資金はこの地域の国々が抗マラリア剤や殺虫剤処理された蚊帳、そして臨床診断の質の向上などに使われる。
とはいえ、テック起業をルーツにもつゲイツ財団は、こうした対策だけでは足りないと考えている。
「蚊帳でマラリアを退治しようとは考えていません」と、同財団の広報担当者は『WIRED』US版の取材に回答している。「Oxitecのプロジェクトなどへの投資は、新たなツールの利用を可能にします。そうした技術を既存の対策と組み合わせることによって、真の意味でマラリアを撲滅することができるのです」

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