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2020年3月8日日曜日

ライトタッチテクノロジーは、非侵襲血糖値センサーで「子どもたちが採血で苦しまない世界」を実現する(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】

https://industry-co-creation.com/catapult/43029
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ライトタッチテクノロジーは、非侵襲血糖値センサーで「子どもたちが採血で苦しまない世界」を実現する(ICC FUKUOKA 2019)【文字起こし版】


ICCサミット FUKUOKA 2019 カタパルト・グランプリに登壇し、見事優勝に輝いた ライトタッチテクノロジー・山川考一さんのプレゼンテーション【ライトタッチテクノロジーは、非侵襲血糖値センサーで「子どもたちが採血で苦しまない世界」を実現する】の文字起こし記事をぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。

【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 6B
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
(プレゼンター)
山川 考一
ライトタッチテクノロジー株式会社
代表取締役社長
1964年8月16日生。大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員を経て、1994年日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)入所。現在、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構レーザー医療応用研究グループリーダー。入所以来、最先端レーザーの開発とその応用研究に従事。全世界で4億人を超える糖尿病患者の採血による苦痛をなくすため、非侵襲・リアルタイム血糖値センサーの実用化に挑戦するライトタッチテクノロジー株式会社を2017年7月に創業。

山川 考一氏 ライトタッチテクノロジー代表の山川です。よろしくお願いいたします。
まずはじめに、私たち「ライトタッチテクノロジー」が事業化を目指した背景についてお話ししたいと思います。
現在、世界の糖尿病患者の数は4億人を超え、今も年々増え続けています。
2045年には6億人を超え、成人の10人に1人が糖尿病になると予測されています。
糖尿病患者の方は、高血糖値状態が長く続くとさまざまな合併症(網膜症、脳卒中、腎症、神経障害、足の障害、心筋梗塞など)を引き起こすリスクが高くなります。
そのため1日に複数回、採血によって血糖値を測定しなければなりません。

「血糖値の測定」は患者にとっての負担が大きい

皆さんは、血糖値を測る「血糖計」というものをご存知でしょうか?
血糖計は、糖尿病患者の方にとっては欠かすことのできないものです。
また、健康な方でも糖質の多い食事ばかり取っていると「血糖値スパイク」が起こります。
血糖値スパイクというのは、食後短時間の間に血糖値が急上昇して再び正常値に戻る現象です。
この血糖値スパイクが頻繁に起こると、心筋梗塞や脳梗塞といった突然死のリスクが非常に高まるため、特に気を付けなければなりません。
ただ、空腹時に行われる普段の健康診断では、この血糖値スパイクを見つけることができません。
従って、糖尿病予防のためにも、いつでもどこでも気軽に血糖値が測れればよいのですが、血糖値を測るにはこのような器具が必要になります。
使う際は、穿刺ペンに針を刺して、バネの力で指先に穴を開けて採血をします。
そして血液をセンサーに付けて血糖値を測定します。
実に痛そうで、面倒です。
しかし、糖尿病患者の方は1日に4〜5回、痛みに耐えながら血糖値を測定しなければなりません。
特に1型糖尿病の方は、年間約3,000本の針を刺します。針を刺さない日はありません。
そして使用済みの針は、感染性廃棄物として処理する必要があります。
消耗品のコストも年間20万円に及びます。
このように血糖値の測定は、糖尿病患者にとって肉体的、精神的、そして経済的にも大きな負担となっています。

新開発「採血不要・廃棄物ゼロ」の血糖値センサー

そこで我々ライトタッチテクノロジーでは、指先をセンサーにかざすだけで、5秒で血糖値を測定できる技術を開発しています。
採血は不要、廃棄物もゼロです。
この次期開発モデルにより、いつでもどこでも気軽に血糖値を測ることができます。
非侵襲で血糖値を測定する技術は、これまで約30年にわたり世界中で開発競争が行われてきましたが、いまだに製品として実用化されたものはありません。
我々が注目した赤外線の光というのは、特定の物質のみに光エネルギーを吸収させることができるため、原理的には、比較的容易に血中の糖をモニターすることが可能です。
しかしこれまでは、その輝度(明るさ)が極端に弱かったために、実用化に必要な測定精度が得られませんでした。
私は25年以上にわたり最先端レーザーの開発に携わってきました。
2003年には世界最高出力の850兆ワットのレーザー開発にも成功し、科学雑誌『Science』にも取り上げられました
ちなみにレーザーは、昨年2018年のノーベル物理学賞の受賞テーマでもあります。
こうした長年のレーザー開発の知見をもとに、これまで未到の領域であった「小型で高輝度の赤外線レーザー」の開発に成功しました。
このレーザーを用いた方法は、採血型の血糖値センサーとの比較検証により、国際標準化機構(ISO)の測定精度を世界で初めてクリアしました。

“採血のいらない”血糖値センサーがひらく世界

非侵襲の血糖値センサーが実現すると、糖尿病患者の QOL(生活の質)が向上します。
また公共施設などに設置することで、健常者の健康意識も高まり、糖尿病予防にもつながります。
今後さらなる小型化によって、1日24時間、365日の連続測定も可能になるかもしれません。
病院などでは、医師による診断・治療のスピードアップにもつながり、特に1型糖尿病のお子さんとそのご家族の負担が軽減されます。
我々のコア技術である最先端レーザーは、血糖値の測定にとどまらず、脂質代謝、血圧の測定、皮膚生理機能の解明、あるいは涙や汗によるがんの早期発見、そして大気中のインフルエンザウイルスの検知などにも使われる可能性があります。
ぜひ皆さんの測りたいものを教えてください。
そして一緒に人々の健康と豊かな社会を実現しましょう。

子どもたちが、採血で苦しまなくてよい世界を

最後に1つお願いがあります。
こちらは、今朝、1型糖尿病のお子さんから頂いたメッセージです。
非侵襲の血糖値センサーを待っている患者さんが、たくさんいます。
そして患者さんにこのセンサーを届けるためには、開発資金が必要です。
本日、佐賀県とNPO 法人「日本IDDMネットワーク」が、ふるさと納税を通じたクラウドファンディングを立ち上げました。
「“不治の病”と生きる子どもたちに“治療”を−針を刺さなくていい日々を届けたい−」
皆さんも、このふるさと納税を通じて、ご支援のほどよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
(終)
編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成
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