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【北京=三塚聖平】中国政府は16日、南部の広東省にある台山原子力発電所で燃料棒の一部が破損し、冷却材の放射性物質の濃度が上昇したと発表した。海外メディアが同原発から放射性物質が漏れて周辺地域で放射線量が高まっている恐れがあると報じ、情報公開を求める海外の批判を受けて問題が起きていることをようやく認めた。 中国は原発の拡大方針を示しているが、透明性が疑問視される事態となった。 発表は、原発の安全管理を担当する国家核安全局が談話形式で行った。それによると、台山原発1号機の原子炉に備わっている6万本余りの燃料棒のうち、推計で5本前後が破損。軽微な破損は「よくある現象」で、設計上の許容範囲内に収まっていると説明した。 放射性物質が漏れる事故が起きたと報じられたことには「漏洩(ろうえい)は存在しない」とし、周辺環境に「異常はない」と主張した。 原発周辺の放射線量に関する基準値の上限を引き上げたという報道を「事実ではない」と否定。ただ、冷却材の放射性濃度に関する基準値を国家核安全局が審査して認可したと説明しており、稼働を続けるため変更を加えた可能性が残る。 米CNNテレビは、米政府が1週間にわたって事態の評価を行っていると14日に伝えたが、その間に中国政府による公式発表はなかった。中国国営メディアは、台山原発に関する目立った報道をしていない。 中国政府は、日本が東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を決めたことについて「不透明で無責任だ」と批判してきたが、自国の原発に関する情報公開姿勢が問われることになった。
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