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2022年7月22日金曜日

ぶっちゃけどうなの? 比べてみました、日本と世界のエンジニア事情。

https://persol-tech-s.co.jp/i-engineer/interesting/dmmenglish

2021.03.23


こんにちは。ライターの観音クリエイション(@kannnonn)です。過去にアメリカ系のソフトウェア会社のインド支社で働いていました。残業してたらインド人の同僚に「なんで残業してるの?」って何度も聞かれたのをよく覚えています。

さて、「日本人は働きすぎ」とか「日本は打ち合わせが多い」などいろんな声を海外から聞くことがありますが、実際のところはどうなのでしょう? そこで今回は、世界120ヵ国・7000名以上の講師が在籍するオンライン英会話サービス 「DMM英会話」 で働く外国人エンジニアと日本人エンジニアによるオンライン座談会を開催!


・世界の他の国と比べて日本の労働環境はどうなのか
・ぶっちゃけ日本のエンジニアの給料は安いのか高いのか
・多国籍のエンジニアが働く環境でのコミュニケーションのコツ
・国を超えて一緒に仕事をするメリット


などについて、お話を伺いました。
お話を聞いていて「え、そうなの!?」と驚くことが多く、日本と世界のエンジニア事情の違いを知る、いい機会になりました。この記事が、現在日本で働くエンジニアの方の参考になれば幸いです。

Luke McCrohonさん
ニュージーランド出身、日本在住。大学でコンピューター科学と言語学を学び、ワーキングホリデーをきっかけに日本へ渡航。現在は「DMM英会話」のCTOを務める。

Kevin Griffinさん

アメリカ出身、日本在住。大学時代に日本語の勉強を開始。卒業後、英単語アプリの開発に従事。現在は「DMM英会話」のHead of Engineeringとして活躍中。

中西 要人さん

日本出身、台湾在住。外国語大学にて英語を習得。「海外に行きたい」「プログラミングもやりたい」という思いから、フィリピンや台湾でエンジニアとして働く。現在はDMM英会話でシニアエンジニアとして活躍中。

日本に住みたい! でも仕事はブラックでしょ?

観音:みなさん今日は、日頃から感じているエンジニア業界への思いを遠慮なくぶっちゃけてください! 忖度なくお願いします! まず、海外のエンジニアさんから見て、日本のエンジニア業界ってどんな印象でしたか?

Lukeさん

まったくいいイメージはなかったです。残業や無駄なミーティングが多くて、しかも年収が安い。全体的にあんまり効率が良くないなーという印象ですね。

観音:(早速厳しい意見……)

Kevinさん

Lukeさんと同じ意見です。いわゆるブラック企業そのまんまの印象。僕もそうでしたが、「日本に住みたいけど働くのはちょっとなあ……」と思っている人は多いんじゃないですかね。

観音:(日本のエンジニア業界、大丈夫か?)……そうですよね、日本でも働き方改革が叫ばれていますが、やっぱり海外でもイメージは良くないんですね。でも、そんなイメージの中でなぜ、日本で働こうと?

Kevinさん

実は、日本に住みたいと思っている人は多いんです。だから、ビザを取りたくて日本で働くことを選ぶエンジニアは増えていると思います。

Lukeさん

そう。でも、周りの日本人のエンジニアの話を聞くと、労働環境の良い悪いは仕事場によるなって。最近の日本のスタートアップ企業は、欧米の働き方に近くなっていると感じています。

Kevinさん

私とLukeさんは、以前は「DMM英会話」と繋がりのあった日本法人の開発会社で働いていました。そこは、社長がアメリカ人で、従業員も多国籍だったため日常的に英語が使われ、欧米的な職場環境でした。今の「DMM英会話」も、海外の職場環境に近いものになっています。

変えることで迷惑かかる? いやいや、効率的になるよ!?

観音:ここからは、現場の話へ。そんな実際に日本で働き始めてみて、体感としてはどうですか?

Kevinさん

やっぱり効率が悪いなーと思う会社が多いですね。日本の多くの会社って、効率より働いた時間で従業員を評価するじゃないですか。極端に言えば大した成果も出していないのに、「あの人はいっぱい残業してるから頑張ってる」みたいな。

観音:確かに労働時間を重視する会社や管理職の人は、今でも多い気がしますね。

Kevinさん

本来は「このプロセスを変えたことでこのプロジェクトの工数を40%効率化できた」というような成果を見て評価するべきなのに、時間で評価するのはナンセンスだなあと思っちゃいますね。

観音:海外ではそういった効率化は、どう評価に繋がるんですか?

Kevinさん

自分が提案したことで効率が改善すると、給料やボーナスに反映されます。

観音:会社が良くなって、自分に対価として返ってくる。いいことだらけですね。他に「ここは海外の会社とは違うぞ」という点ってありますか?

Lukeさん

日本の会社は、変化を嫌う傾向はものすごく強いと思うなあ。

Kevinさん

あーわかる。

観音:変化を嫌うというと?

Lukeさん

わかりやすいところで言うと、業務フローの変更とか。確実に業務効率が良くなる提案をしたとしても、「このプロセスを変えたら、どこかに問題が出るかもしれない」とか「効率が良くなるから、会社にとってはいいことなんだけど、今この作業をやっている人に何か迷惑がかかるかもしれないから今回は見送ろうかな」という考え方の人、結構多くないですか?

観音:言われてみればそうかも……。良く言えば安定感を重視しているんだけど、悪く言うと変えるべきところを変える勇気がないというか。

Lukeさん

そうそう。海外の会社ではそういう場合、もう先に変えてしまって、何か問題が起きたらその都度対応して改善していく、というやり方をとるところが多いんですよね。

Kevinさん

結局、その方が効率良いことが多かったりするしね。

観音:なるほど。走りながら改善を重ねていくスタイルなんですね。

ミスしたら残業する? それとも、サクッと帰って休む?

観音:ここまでKevinさん、Lukeさんによる海外の意見を中心に聞いてきましたが。中西さん、日本人目線で日本と海外の職場環境や文化の違いを感じることってありますか?

中西さん

僕は過去にフィリピンでエンジニアとして働いていたことがあるんですが、そのときにワークライフバランスについて考え方を改めるほど衝撃を受けたことがあります。同僚のエンジニアの一人が「明日は娘の誕生日だから会社休むわー」って言って、翌日ほんとにそのまま休暇を取ってて。

観音:ほーー。日本だとまず考えられない。(僕も誕生日休みたい……。)

中西さん

ですよね。僕もそのときは「え、それアリなの!?」ってびっくりしました。

観音:フィリピンではそれが普通なんですか? それとも、その同僚の方が特別そういう人だったんでしょうか?

中西さん

これがスタンダードなんです。フィリピンの人たちはものすごく家族を大事にするので、そのあたりの文化の違いですね。

観音:なるほど。仕事よりも家族を優先する国民性が背景にあると。日本でも有給消化しやすい企業が増えてきましたけど、意識としては仕事を重視してしまう傾向はありますよね。

中西さん

はい。最初は驚いたものの、一度そういう環境に慣れてしまえば居心地が良くて。今では本来そうあるべきだよなーって思っています。日本は他の国に比べるとプライベートを重視する度合いが低いので、そういう休暇の取り方が当たり前になったら、もっと生活しやすくなるかなと思うんですよね。

観音:間違いないですね。ところで残業ってどうですか? 海外と日本で結構違う部分なのかなと思うのですが。

中西さん

あー、残業に対する考え方は結構違うかなあ。例えば「DMM英会話」では残業をしたら他の日に早く帰ってトータルの労働時間を調整してOK、というルールがあるのですが、日本人はそういう文化に慣れていないみたいで。

Kevinさん

うん、確かにそのあたりは新しく入ってくるエンジニアを見ていても、海外から来た人のほうがすぐ順応していますね。

Lukeさん

あとは日本人って自分のミスで仕事遅くなったりしたら、「自分のせいだから残業してでも取り返さなきゃ」っていう意識が強すぎるように思う。

観音:なんとなくわかる気がします。

Lukeさん

どんなエンジニアでも人間だからミスすることはあるじゃないですか。チームで仕事してるんだし、そんなことに罪悪感を感じず、サクッと帰ってしっかり休んで翌日また頑張ればいいのになあと思います。

観音:いやぁ、そんな心構えで仕事したい!

リスクに備えて万全の議論? とりあえずやってみて改善する?

観音:続いて制作について質問です。自社サービスなりパッケージなり、何かサービスを作る仕事を進める際、日本と海外で大きな違いを感じるところってどこですか?

Lukeさん

日本はプロジェクトが始まる前にコストや時間をかけすぎている傾向があるよね。

Kevinさん

うん、あるある。

Lukeさん

さっき会話に出た業務フローの変更の話にも通ずるところがあると思うんですが、日本はミスに厳しいんですよ。何かあったときにゴメンでは済まされない風潮というか、リスクに対する許容度が海外に比べて圧倒的に低い。

観音:確かに、ミスに厳しいし、ミスしたくないという気持ちも強い気がします。

Lukeさん

ですよね。そういう考え方が根底にあるから、とにかくリスクヘッジをしたがる。「あれが起きたらどうする?」「これが起きたらどうする?」と、実際に問題が発生するかわからないうちから議論をするんですよね。そしてそれに時間や人員を使いすぎていて、そのコストを考えていない。そういうミーティングが無料じゃないことをちゃんと理解してるのかな、って。

観音:日本人として、耳が痛くなる……。海外だとその辺りはどうなんですか?

Kevinさん

ある程度コアになる部分だけ合意を握れば、そこからは実際に作り始めてしまうことがほとんどですね。「問題が発生することは仕方ない。なのでそれを想定しつつ、問題が起きたら、なるべく早く解決しよう」というスタンスです。

観音:走りながら解決するってやつですね!?

Kevinさん

そう。Appleを例に出すとわかりやすいかな。世界中で何億人が使っているiOSでも、最新バージョンにアップデートしたら結構なバグがあったりするじゃないですか。けどそういうバグも、3日後ぐらいにはパッチがリリースされて解決されちゃったり。

観音:確かに。日本だったら「なんでこんなバグがリリース前に見つけられなかったんだ! ちゃんとテスティングしたのか! 開発プロセスがうまくいってないんじゃないか!」ってなりそう。

Kevinさん

(笑)

観音:ただこのあたり、必要悪みたいになってる部分もあるんじゃないかなーとも思います。日本の会社と取引している限り、ある程度はその文化に合わせてあげたほうが結果的にスムーズにビジネスを進められるんじゃないかなという意味で。中西さん、日本人エンジニアの目線から見るとどうでしょう?

中西さん

そうですね、フォローを踏まえて日本的なやり方のいいところを伝えておきますね(笑)。たとえば事前のミーティングの数や関わる人数を増やすことで要望の共有がしやすかったり、議事録がちゃんと残って後から参加したエンジニアが情報を追いやすくなったりというメリットも感じます。

観音:ああそうか。「議事録あって助かった!」みたいなシーンって結構ありますもんね。

中西さん

はい。あとKevinさんが言った「実際に作り始めて問題が発生したら都度対処する」というのは作るスピードは速いぶん、後からのキャッチアップが難しくなる面もあるんですよね。

観音:なるほど。この辺りは海外と日本のいいとこ取りをできれば理想なのかもですね。

Kevinさん

あと、サービス作るときの違いで、感じていることがあります。欧米では直接お客さんに販売をしないものでも積極的に作る機会も多いのですが、日本の企業はそういうことに消極的なように感じています。

観音:どういうことですか?

Kevinさん

例えば、海外ではライブラリ(汎用性の高い複数のプログラムを再利用可能な形でひとまとまりにしたもの)だけを作ることは多くて。Googleなども商品として提供しないものも作っていて、そこから新しいアイデアや技術を生み出すことに積極的に取り組んでいるんです。

観音:たしかに、利益になるかどうか先行きが見えないものに時間やお金を投じにくいところはあるかもしれないです。

海外のエンジニアの給料は日本の倍もある? 新卒でもアグレッシブに給与交渉!!??

観音:続いて、誰もが気になるお金の話。日本のエンジニアの給料ってぶっちゃけどうなんですか?

Lukeさん

かなり安いと思います。いま日本のエンジニアの年収って500〜600万円ぐらいが平均だと思うのですが、ニュージーランドに行けば新卒でそのぐらいもらえます。平均年収で言うと1.5倍ぐらいかな。

Kevinさん

アメリカはざっくり倍ぐらいですね。

観音:えぇ、そんなに違うんだ……。

Kevinさん

そういえば日本って業界全体の給料の水準が比較的一定していて、交渉の余地があんまりないですよね。海外は優秀な人とそうでない人で何倍も給料に差があるし、当たり前に交渉します。

観音:その給与交渉って新卒でもするものですか?

Kevinさん

はい、全然しますよ。新卒採用の面接をしていたらプログラミング経験6カ月とかの子が「◯◯って会社は1,000万円もらえるって聞いたんですけど」って他の企業の例を出して交渉してくることもザラにあります。

観音:え、プログラミング経験6カ月で!? そんな堂々としてみたい……。日本だと、キャリアが浅い新卒での給料交渉はなかなかしにくいように思います。

Lukeさん

あるね。あと成果に対してきちんとお金で評価する、という会社は海外のほうが多い印象かなあ。優秀な人や結果を出した人にボーナスを出したり昇給させたり。日本はどっちかって言うと「ずっと同じ会社で働くことで昇給していく」みたいな風潮がある気がする。

観音:やはり年功序列のイメージが強く残っているのか……。お金面は海外とは大きな差があるんですね。

日本では普通に使っているあの言葉は、海外では通じない!?

観音:続いて、社員同士のコミュニケーションについて質問させてください。多国籍な社員が勤務している環境で、会話する際に気をつけていることってありますか?

Lukeさん

母国語じゃない言語でコミュニケーションをとっていると、わからないことや勘違いすることって絶対にあります。そういうときにちゃんと聞くこと、そしてそういうときにちゃんと聞ける雰囲気を作ることには常に気をつけていますね。

Kevinさん

うん、質問は大事。細かいことでもわからないまま進めちゃうと大きな問題や、予想もしていなかった変なエラーに繋がっちゃうことがあるもんね。

観音:ちなみに、日本独特の英語表現があれば教えてもらえますか? 「英語っぽいけどこの言い方は絶対しないなー」みたいなやつ。

Kevinさん

SP版(Smart Phone版)は日本特有ですよね。英語ではMobile Versionと表現します。

Lukeさん

Software Engineerを省略してSEと言うのも日本に来てから初めて耳にしましたね。英語では単にEngineer、もしくは省略せずSoftware Engineerと言います。

観音:普通に当たり前に使われているものだと思っていました!

中西さん

日本でよく使っていた「デグレ」(ある機能の改修によって既存の機能に不具合が発生すること。degradeの略)は日本特有みたいですね。海外では、回帰という意味のregressionという言葉をよく使います。あと、「正解」や「合格」としての「○」の使われ方は日本独特みたいですね。グローバルでは✅(チェックマーク)を使うのが一般的。ただ、不正解の意味での「×」は日本同様の意味で伝わります。

観音:へー、おもしろい。逆に日本のエンジニア業界では使われないけれど、海外の現場で使われている英語表現ってありますか?

中西さん

凄腕プログラマーのことをninjaと表現することがありますね。jQueryの作者の本『JavaScript Ninjaの極意』("Secrets of the JavaScript Ninja")もタイトルでninjaを使っているので、割と業界では伝わりやすい比喩なんだと思います。日本でもなんとなく意味はわかると思いますが。

観音:急にninjaって出てきたら、一瞬「何言ってんだ?」ってなりそうです。

中西さん

他にも、「バージョンをあげる」という意味でbump(直訳は「ドンっとぶつかる」)が使われたり、バグのことをbugとも言いますが「突発的な問題」に対しては「欠陥」という意味のglitchということもあります。

観音:いろいろあるんですね。 同じ英語でありながら、日本と海外で使われ方が違うのはおもしろい!

国を超えて一緒につくったら、こんな良いことがあった

観音:ここまで日本と海外の違いをいろんな面で聞いてきましたが、外の世界を知ると今までの普通が普通じゃなくなると思いました。今はみなさん「DMM英会話」で一緒に力を合わせて仕事をしていますが、多国籍な環境で一緒に開発するメリットを教えていただけますか?

Kevinさん

何かものを作る際にトレンドに流されないのは、大きな強みだと思います。いろんなバックグラウンドを持っている人がいるから「アメリカで流行ってるから良いとは限らない」とか「Googleがやってるからといって正しいとは思わない」って言ってくれる人がいる。本当に良いものを作ろうという気にさせてくれる環境ですね。

観音:日本人はアメリカで流行っていることに敏感ですが、トレンドばかり意識しすぎてはいけないと。

Lukeさん

ビジネス的な観点のメリットとしては採用面の選択肢が増えることですね。日本だけでやっていると奪い合いになってしまう採用も、世界に間口を広げると優秀な人がたくさん見つかる。

観音:なるほど、リモートワークが一般化してきている今、働く側も採用する企業も国境を気にしなくなってきていますね。

Lukeさん

世界中からエンジニアを集めることができれば、良いクオリティのプロダクトを、もっとスピーディーにお届けできるようになると思うので、外国人エンジニアが働きやすい環境作りには力を入れて取り組んでいきたいと思っています。

まとめ

お話を聞いてみて、職場環境や給与や休暇など、「日本で働くのって思っていた以上にハードモードなんだな」「日本ってもっと先進国だと思ってた……」というのが正直な感想。

その一方で、今後、多国籍な人材を抱える企業が増えれば海外の良い文化がどんどん日本に入ってきて、日本全体がもっと働きやすくなるだろうなという希望を持てました。 日本企業でエンジニアとして働いている人も、これからエンジニアを目指す人も、「多国籍な環境の会社で働く」という選択肢があって、そこにはたくさんのメリットがあるということを頭の片隅に入れておくと、働き方や考え方をアップデートする機会になるかもしれません。


取材協力:DMM英会話( https://eikaiwa.dmm.com/ 
ライター:観音クリエイション
イラスト:おほしんたろう

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